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「お引越し」撮影監督・栗田豊通が振り返る、相米慎二監督との日々「相米さんはこの映画で変わりたいんだなとも強く感じました」

映画.com / 2024年12月26日 10時0分

●各国のポスターから感じること「絵柄が全然違うのが面白い」

――今回のデジタルリマスター版は2023年のヴェネチア国際映画祭クラシック部門で最優秀復元賞を受賞し、アメリカ、フランスをはじめ、世界中で公開が拡大しております。栗田さんはこの状況をどう見ていますか?

 私はアメリカの劇場で、若い観客が活き活きと反応している姿を見ました。公開当時、日本のポスターはレンコのほっぺたをナズナとケンイチが引っ張っているデザインでしたが、今回のフランス版、アメリカ版、台湾版、イタリア版と絵柄が全然違うのが面白いですよね。

 個人的にはフランス版を気に入っていますが、それは単に離婚問題を扱った子供映画ではなく、家族、社会、自然、さらに宇宙の中での「個」の再生という「お引越し」で相米さんがやろうとしたテーマを理解した上でのデザインがなされていると思うのです。それが現在のフランスの観客に伝わっているのでしょう。

 一方、今回の日本のポスターは新しい日本の観客に向けて家族、夫婦関係と個人の課題を三角形のテーブルを囲んでデザインされていています。女性にとってはキャリア形成や社会進出についての物語でもあり、日本での1990年代ではちょっと早いテーマだったのかもしれないのです。時代が追い付き、新しい観客に発見されていくことを期待しています。

 技術者としては、先程言いましたように、撮影時に目指したコンセプトが、デジタル化というプロセスを経ることによって、当時表現したかった内容がより明確に表現できるようになった。その道具が手に入ったことに感謝したいです。デジタル化は単に映像をきれいにする作業だと思われがちですが、そうではない。撮影当時のスタッフで監督と共に作品の表現に関わる当事者が参加することで、当時狙っていたことを明確にし、再構成できるクリエイティブな作業でもありうるのだと思います。それを今回、読売テレビやクープの協力を得て、展開できたことに喜びを感じています。

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