ゴールデングローブ賞最多ノミネート「エミリア・ペレス」など、2024年フランス映画界を振り返り&2025年上半期の期待作【パリ発コラム】
映画.com / 2024年12月26日 13時0分
今年も残すところあとわずか。このページをご覧になっている方のなかには、すでに新年を迎えている方もいるかもしれない。というわけで2024年のフランス映画界を振り返るとともに、2025年上半期の期待作をご紹介したい。
2024年のフランス映画界を彩った作品といえばまず、カンヌで審査員賞と、4人の主演俳優たちに女優賞が与えられたジャック・オーディアール監督のミュージカル・コメディ「エミリア・ペレス(原題)」と、フランスで900万人を超える動員を記録したピエール・ニネ主演の「Le Comte de Monte-Cristo」だ。
ゴールデングローブ賞でも最多10部門ノミネートを果たした前者は、ゾーイ・サルダナ、セレーナ・ゴメスら、ハリウッドスターの出演とメキシコが舞台という設定ゆえ、アメリカ映画の印象があるかもしれないが、メインの製作国はフランスなのでフランス映画といえる。アカデミー賞の国際長編映画賞でもフランスの代表として選出された。
メキシコの麻薬組織のボス(カルラ・ソフィア・ガスコン)が弁護士(サルダナ)を雇い、秘密裏に性別適合手術を受け女性として新たな人生を歩みはじめるも、子供のことが忘れられず、正体を偽って家族に再接近する。突拍子も無い物語がエネルギッシュな歌とダンス、流麗なカメラワーク、俳優陣の演技力により、パワフルなエンターテインメントに昇華されている。フランスのシンガー、カミーユの音楽も独創的で耳に残る。
後者はアレクサンドル・デュマの古典文学を、新世代の実力派俳優たち(ニネ、アナイス・ドゥムースティエ、アナマリア・バルトロメイ、バスティアン・ブイヨンら)を起用しつつ、壮麗なセットやドローン撮影による見応えのある映像で大作感あふれるコスチューム劇に仕立て、制作サイドも予測していなかったほどの成功に至った。
もっとも、興行成績ベスト1に輝いた作品はこのどちらでもない。フランスの人気コメディアン、アルテュス監督、脚本、主演のコメディ「Un P’tit truc en plus」で、なんと動員1000万人を突破した。人生を見失った父と息子(といっても立派な大人)が、ひょんなきっかけでハンディキャップを負った人々の林間学校に紛れ込んだことから、再生のきっかけをもたらされる。ただしアルテュスのネームバリューに拠る成功というよりは、むしろ万人向けの笑いとフィールグッド感が口コミ効果をもたらしたと思われる。クオリティ自体はテレビドラマのような映像とご都合主義的なシナリオゆえ、日本に配給される見込みは低いかもしれないが。
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