シャネルが是枝裕和監督と映画界の未来を担う若手クリエイターを支援「CHANEL and Cinema TOKYO LIGHTS」ティルダ・スウィントン、西川美和監督参加のクロストーク
映画.com / 2024年12月30日 13時30分
そして、自身のキャリアを振り返りながら、プロとして現場に出始めると、学びの機会がなかなか得られないという現状を挙げ、「ここでアドバイスをしたり実際に演じていたりしながら、どういう風に、映画というものが組み立てられていくのか、そのプロセスとして共有していきたい」「プロとして活躍されている方もいれば、まだ学生もいらっしゃると思うので、学び直しの機会にもなれば」と、監督、俳優など職種や経験値が異なる参加者の状況を鑑み、さまざまな段階での学びの場になることを説明した。
自らを俳優ではなく、フィルムメイカーと定義するティルダは「全く商業的ではなく、ゼロの資金、ゼロの予算、ゼロの報酬、そして絶対的な自由があった」という、デレク・ジャーマンとのアート映画界でのキャリアをスタートし、映画制作がティルダにとっての「唯一の仕事」となったと自身の歩みを紹介。
本マスタークラス開催の意義を「国際的なフィルムメイカーとして仲間意識を引き出すもの」とし、「誰もがそのつながりを引き出せるのです。私はスコットランドから来ました。日本から遠く離れた非常に小さな国ですが、私は皆さんの仲間として、国際的なフィルムメイカーとしてここにいます。そのことも(本企画の)コミュニティとフェローシップを証明するのです」と、本マスタークラスを通じ、映画制作に関わる者同士の国境を超えたつながりを強調した。
西川監督は、是枝監督や有志とともに立ち上げた活動「action4cinema日本版cnc設立を求める会」を紹介し、「フランスのようにまとめて映画、映像業界の面倒を見る機関やシステムが日本にはありません。実際に現場で働いている作り手、劇場、映画祭がどのようにサポートされているというのが見えづらい状況にある」と日本の現状を説明。フランスやイギリスなど、他国の映画制作支援制度の例を挙げ「世界中の支援の仕組みというのを学びながら、日本も少しクリアに、若い人たちが自分たちの映画を作っている道筋をきちんと支えてもらえるといい」と希望を語る。
そして「海外の映画祭に参加するといろんなことが見えてくる」そうで、「日本映画に歴史があり、海外に行けば本当に愛されてきたことを実感します。もちろん小津安二郎監督、黒澤明監督がその代表ですが、現在も他の巨匠を掘り起こしてレトロスペクティブを開催し、現地の方々がそれに親しんで、ますます日本の映画文化の歴史を実感すると同時に、現代の日本の作り手がどういうものを作っているのか、という期待も感じます。その期待は、私たちが国内で感じる以上のものです。支援の仕組みが足りていないことを言い出すときりがありませんが、私たち作り手も、ただ自分の作品を作ることに集中するだけではなく、ティルダさんが仰るように、横のつながりも濃く持ちながら、今後の映画作りに貢献する努力も必要かなと思います」と自身の考えを述べた。
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