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【「アプレンティス ドナルド・トランプの創り方」評論】「原点」を解き明かすことでトランプ氏の本質を炙り出そうとする傑作

映画.com / 2025年1月19日 15時0分

【「アプレンティス ドナルド・トランプの創り方」評論】「原点」を解き明かすことでトランプ氏の本質を炙り出そうとする傑作

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 1月20日、トランプ氏が再び米国大統領に就任する。ある者は歓迎し高揚感に包まれ、ある者は落胆し喪失感を覚える。受け止め方は人それぞれだが、昨年の大統領選挙でトランプ氏が圧勝した事実は変わらない。カナダ合併やグリーンランド(デンマーク自治領)買収を放言するトランプ氏を見ると「本質は何も変わっていない」という感慨を持つ者もいるかも知れない。

 FacebookとInstagramを運営するメタ社は1月7日、第三者機関によるファクトチェックを米国で廃止すると表明した。「表現の自由を守る」ためだそうだが、トランプ大統領が第一次政権時に行なった虚偽発言、誤解を招く発言は3万件を超えている(ワシントン・ポストによる)。何が本当で何が嘘か分からないポスト・トゥルースの時代がまた到来するとすれば、重要なことはトランプ氏の本質と改めて向き合うことだろう。

 映画「アプレンティス ドナルド・トランプの創り方」は、トランプ氏の「原点」を解き明かすことで彼の本質を炙り出そうとする傑作映画だ。

 監督は、北欧ミステリー「ボーダー 二つの世界」(2018)のイラン系デンマーク人アリ・アッバシ。脚本はガブリエル・シャーマン。FOXニュースに君臨するも局アナに対する性的奉仕強要スキャンダルで失脚したロジャー・エイルズを描いたTVドラマ「ザ・ラウデスト・ボイス アメリカを分断した男」(2019)の原作・製作総指揮で知られるジャーナリストだ。

 父親の庇護の下で不動産業に乗り出した20代のトランプ氏は、虚栄心に満ちているがウブで、野心を隠さないが経験が追いつかず、ささやくように話す若者に過ぎなかった。ところがNYの会員制クラブで一人の弁護士と知り合ったことから、彼の人生は大きく変わる。

 その男の名前は、ロイ・コーン。検察官としてローゼンバーク夫妻事件(ソ連のスパイとして死刑判決)を手がけ、共産主義関係者を吊るし上げる「赤狩り」で名を馳せたマッカーシーの右腕として辣腕を振るい、ニクソンやレーガンといった共和党大統領からマフィアのドン、ジョン・ゴッティに至るまで、多くのクライアントを抱えたNYのフィクサーだ。

 そのロイ・コーンから、若きトランプ氏は三つのルールを叩き込まれる。

ルール1「攻撃、攻撃、攻撃」(Attack, Attack, Attack)
ルール2「非を絶対に認めるな」(Admit nothing, deny everything)
ルール3「勝利を主張し続けろ」(No matter what happens, you claim victory and never admit defeat)

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