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「ありふれた教室」で起こる学校版「サウルの息子」 7歳の少女視点で、過酷な学校生活を描く「Playground 校庭」予告

映画.com / 2025年1月30日 15時0分

「ありふれた教室」で起こる学校版「サウルの息子」 7歳の少女視点で、過酷な学校生活を描く「Playground 校庭」予告

(C)2021 Dragons Films/ Lunanime

 第94回アカデミー賞国際長編映画賞のショートリストに選出された、学校での悪夢のような日常をサバイブする7歳の少女の葛藤や不安心理を描く「Playground 校庭」の予告編、本ビジュアル、場面写真11点が一挙に公開。あわせて、小島秀夫、河瀨直美、森達也からのコメントも披露された。

 大勢の子どもたちが教室で学び、休み時間に校庭を元気よく駆け回る学校は、みずみずしい生命力に満ち溢れた場所。しかし、小さな子どもの目を通してその日常を見つめると、多くの大人たちが抱くイメージは打ち砕かれる。本作は、どこにでもありそうな小学校の敷地内に舞台を限定し、主人公である7歳の少女の視点で全編を紡ぎ上げた、生粋の“学校”映画。その徹底された演出手法は、さながら没入型のスリラー映画のような並外れた緊迫感と臨場感を生み、子どもにとってあまりにも過酷な現実を生々しくあぶり出す。

 予告編では、小学1年生のノラが初めての学校に不安を抱くなか、3つ年上の兄・アベルが、大柄なガキ大将にいじめられている現場を目撃し、ショックを受ける。ノラは、大好きな優しい兄を助けたいと願うが、なぜかアベルは「関わるな、黙ってろ」と命じる。その後もイジメは繰り返され、一方的にやられっぱなしのアベルの気持ちが理解できないノラは、やり場のない寂しさと苦しみを募らせていく。ノラが「助けるとひどくなる」と呟き、子どもたちの声が唸りのように響き渡る、胸が締めつけられる仕上がりだ。

 ビジュアルは、「ここは私たちの世界(すべて)」というキャッチコピーとともに、ノラとアベルを活写。仲が良いはずの兄妹の間には少し距離が空いており、その表情は硬く、何が起こったのか、想像力を刺激する。

 1984年、ベルギー・ブリュッセル生まれのローラ・ワンデル監督が鮮烈な長編デビューを飾った本作は、第74回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門に出品され、国際批評家連盟賞を受賞。さらにロンドン映画祭で新人監督賞に輝くなど、世界中で29の賞を獲得した(2024年11月時点)。大人には窺い知れない子どもの世界を、斬新なスタイルでとらえた映像世界が、高く評価されている。

 本編わずか72分のミニマルな物語は、初登校の日を迎えたノラが、アベルに抱かれて泣きじゃくっているファーストショットから、観客の目を釘付けにする。内気なノラにとって、見知らぬ子どもたちがあちこちで叫び声を上げ、無闇に走り回っている学校は、まさにカオスそのもの。未知なる混乱の真っ只中に投げ出された彼女は、どうやって友だちを見つけ、集団生活になじんでいくのか。しかも他者との関係を育む過程においては、同級生に残酷なことを言われたり、ふとしたことで仲間外れにされたりすることもある。

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