奇才エリック・クーが描く“劇画”の生みの親の半生、『TATSUMI マンガに革命を起こした男』

Entame Plex / 2014年11月14日 14時55分

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奇才エリック・クーが描く“劇画”の生みの親の半生、『TATSUMI マンガに革命を起こした男』

「三日三晩眠れないぐらい興奮した……」
「尊敬の念がさらに高まった……」
「読み込めば読み込むほど魅力が溢れてくる……」

日本漫画界の巨星であり、写実的な漫画表現の一形態“劇画”の生みの親である辰巳ヨシヒロが2008年に発表した漫画「劇画漂流」。シンガポール出身の気鋭インディペンデント・クリエイターであり映画監督でもあるエリック・クーは、本作にについてそう語った。
そして、このたび自身に多大な影響を与えた本作をエリック・クーが「TATSUMI マンガに革命を起こした男」として映画化。そこには彼の辰巳ヨシヒロに対する様々な思い、さらには日本漫画界に一石を投じた辰巳ヨシヒロの全てが詰まっている。



——今作、「TATSUMI マンガに革命を起こした男」を映画化しようと思ったきっかけは?
「私が辰巳先生の作品に出会ったのは20年近く前になるんだけど、この『劇画漂流』を読んで先生の人生を知り、すごくインスパイアされたんだ。そのときは三日三晩眠れないぐらい興奮して、もう先生のことしか考えられなくなってしまったことを今でも覚えているよ。それで、先生に何かトリビュートを捧げたい、先生を讃える作品を作りたいと思ったんだ」

——それが2009年のころですね。
「それ以前から先生の作品には影響を受けていたし、作品化しようと考えたこともあった。でも、先生の作品は短編が多く、そこに触発されることはあっても実際に1本の映画にするには難しくてね」

——最初に辰巳作品に触れたときのことを覚えていますか?
「先生の作品に出会ったころ、私は漫画家だった。でも、当時はエネルギーがなかったというか、アイディアが枯渇していた時期だったんだ。そんなときに友人から先生の短編集をもらって、私は復活することができた。その後、映画監督として短編も撮るようになったけど、常に先生の作品に影響を受け、私を奮い立たせてくれていたことは間違いないね。そして、それは今も変わらない」



——監督にとって、辰巳先生の作品はイマジネーションの源でもある?
「そうだね。なかでもこの『劇画漂流』は素晴らしかった。数多くの作品があるけれど、先生の人生、人となりを知れるものはなかったし、知る機会さえなかったんだ。それが、この作品では先生の生き様や考え、心の葛藤などを知ることができて、尊敬の念がさらに高まったよ。同時に、先生の作品とその人生を世界に紹介したくなってね」

——今作は『劇画漂流』と、先生の人生を描いたパートの2部構成になっており、全編アニメーション。特に先生の人生のパートは実写でも可能だったと思いますが、あえてアニメーションこだわったのはなぜですか?
「先生の作風は絶えず変化していて、活動初期60〜70年代に比べて、『劇画漂流』では劇的に変化している。それを紹介すると同時に、彼の作風のすべてを見せたかったんだ。私自身、これまでにもアニメーションをやらないのって様々な人から言われていたけど、自分が忍耐強くないことを知っている。だから、アニメーションのように長い年月をかけて作品を作ることができるか不安だった。でも、『劇画漂流』だけは読んだ直後からアニメーションしかないって思ってね。私にとってはこれが最初で最後のアニメーション作品になると思う」

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