天童荒太“今本当に必要な思い、願いを持っている映画”「悼む人」いよいよ公開
Entame Plex / 2015年2月13日 6時0分
天童荒太“今本当に必要な思い、願いを持っている映画”「悼む人」いよいよ公開
その着想が生まれたのは2001年。
それが具現化(書籍化)したのが2008年。
その後、2012年に一度は舞台化。
そして、このたび堤幸彦監督の手により映画化した、天童荒太による直木賞受賞作「悼む人」。
時を超え愛される本作は、生死を真摯に捉え、そのまっすぐさゆえに様々な感情を持て余し、触れるものすべてに大きな足跡、天童荒太の言葉を借りれば“宝物”を残していく。映像化にあたって原作者である彼は何を思ったのか、そして今彼が伝えたいこととは。
――今、改めて今作が映画化されることについて、率直な感想を教えてください。
「表現において、時間が一番の審判。時間が経ってもすり減ることなく、舞台や映画、様々な形でより多くの方に見ていただける表現であったことを幸せに思っています」
――これまで天童さんは、ことあるごとに本は残ることに意味があると仰っています。今回はそれがまさに実証されたのでは。
「それは支えてくれる読者のおかげだし、その読者の中に堤幸彦さんや石田ゆり子さんのような方がいたからこそ、今回映画化できたのだと思っています。多くの読者の方が待っていてくださると信じられるから、たとえ時間がかかったとしても次もしっかりと残っていくものを作りたいと思います」
――映画化にあたって、堤監督とはどんなお話をされました?
「監督は原作をリスペクトし、常に意見を求めてくださって。そういったこともあって私自身、今回は原作者というよりは(制作)チームの一員として、この作品がいかに多くの方々に見ていただけるか。そして、世界に向けて伝えていけるかを念頭において、様々な意見を出し合えることができました。とても充実した、チームとしての作品作りができたと思います」
――先日、主演の高良(健吾)さんにインタビューさせていただいた際に、今回の静人役は運命的であり、演じたことを本当に喜んでいました。そんな高良さんの演技に関してはいかがでしたか?
「素晴らしかったですね。本当に難しい役なのに、見事に静人として存在されていた。悼み続けるためには自己の感情を抑えないといけない。感情移入してしまっては悼み続けられないんです。俳優としては、感情を爆発させる演技のほうがやりやすいし観客にも伝わりやすいと思うんですが、今回はそれを一切しないことでしか表現しきれない。そんな深い思いと堪える感覚があるからこそ、悼むということが、彼のポーズに神が宿るような真摯さが舞い込んだ。高良さんの静人に向き合う姿、誠実な姿勢によって様々なシーンが品格を得たと思います。彼は演技というより、今回は映画の中に生きていたんですよね」
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