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田口トモロヲが映画「ピース オブ ケイク」で描きたかったもの「失敗も含めて恋愛」

Entame Plex / 2016年2月1日 19時17分

――多部さんからの具体的な指摘はありましたか?

「神社で、綾野くん演じる京志郎の言葉に多部さん演じる志乃が泣き出すシーンがありますが、人のいない路地裏に移動する時間経過があり会話することを予定していたんです。でも、多部さんから『泣いていた感情のままじゃないとこの会話はできない』とかですね」



――そうした指摘によって原作との差も生まれてきたのでしょうか?

「マンガは表現方法が自由な世界なので、それを肉体化して実写化していくときに、表情やセリフのニュアンスに誤差が生じると思うんですね。そこをマンガっぽく表現するか、リアルに落とし込むかを選択する必要が出てくるのですが、今回の場合は、本読みとリハーサルを重ねてリアルな方向性を選びました」

――原作では、ドタバタの表現が「マンガだから」って場合もありますよね。

「そうなんです。最初リハーサルでは、綾野くんと多部さんの掛け合いがすごく速かったんですね。ポンポンと、とてもコミカルなんですが、少し違和感を感じて。そこで、あえて間を入れたりして現実的な方向で進めましょうという話をしました」

――これまで田口監督が手がけた映画とはだいぶ違っているのでしょうか?

「一見すると、これまで撮ってきたテーマと違うように見えますが、やっぱりリアルで、等身大で、内面的にこんがらがっちゃっている人間の『何か』を描きたいのは同じですね。面倒くさいエモーショナルなものをキュートに表現したい。今作は、きれいごとではないラブストーリーをきちっと描きたいと思いました」

――理想を提示するようなラブストーリーも多いなか、まるで自分の恥ずかしい経験を思い出させるほどのリアルさに、いくぶん拒否反応を持つ人もいるかもしれません。

「でも、『そういう失敗も含めて恋愛なんだ』と、愛情深く見せたかった。誰にでもある20代の時期なんです。試行錯誤しながら立ち直って、また同じ過ちを犯したり。あえて相手に嫌なことを言って別れようとするような、自意識がごちゃごちゃになっている状態ですよね。もちろん、つらいことではあるんですけど、見ている人に『そうだよね、これもアリなんだよな』と考えてもらえるとうれしいですね」

――最初、田口監督も主人公・志乃の行動を「なんだこの子は」と感じていたそうですね。

「原作を読み始めたときは、中途半端にモテるのでイラつきました(笑)。でもあるときから『そうか、この子は恋愛映画の悪役なんだ』と思ったんです。悪役って魅力的じゃないですか。その視点で彼女の行動を追うとどれだけ可愛らしいかわかります。人間誰しも黒い部分があって、表面に出てしまう。誰もが通過してきたそんな時期を愛らしくも感じます」

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