永作博美の女優論“助けられることがあるかどうか”
Entame Plex / 2017年9月23日 20時0分
――演じていく中でその印象は変わっていきましたか?
「原作を読んだときもそうでしたけど、美紀の意思があまり感じられなかったというか、どうしたいのかが分からなかった。台詞が少ないぶん、その一言をどんな声やトーンで、どう発していいのか怖かったです。でも、この人の中にもきちんと考えがあって温かい血が流れているんだというのを後半では感じていただきたいと思っています」
――この作品が“人との距離の取り方”について考え直すキッカケになったら嬉しいとコメントされていましたが、自身が考えさせられたことはありました?
「まず人に対する先入観を考えさせられました。そういったものを排除しているつもりでも、周りに『ああなんだよ』『こういうことらしいよ』って言われると“へぇ、そうなんだ……”って潜在意識のように残っていくというか。きっとそれが積み重なってリアルになっていってしまうことがあると思うと、普段人と話すことや感じることを正確にジャッジしていきたいとより一層思います」
――市原隼人さん演じる弘志とのキスシーンで「私でいいの? 後悔するよ……だって私……」と言いかけたところでキスで塞がれましたけど、演じた永作さんはその先なんて言おうとしたと思います?
「私の中では一応考えてあって。もし、(キスの)タイミングが遅れたら言っちゃおうかなぐらいの感じだったんですけど、言わないです(笑)。それは観ていただく皆さんに想像してもらいたいので」
――美紀は弘志と出会ったことで、幸せな時間が流れていましたよね。
「弘志との出会いは、この世にいながら天国を感じたんだと思います。こんなに感情を揺さぶられて、温かい気持ちになることがあると気付けて。でも美紀は自分の不運を背負っているので、余計なことを考えてしまって幸せに踏み出す勇気が持てない。だから愛する人にこれ以上迷惑をかけたくないという精神状態にどうしてもなってしまうんですよね」
――弘志が一番印象に残っているのは、真っ直ぐに生きてきた美紀の手だと。永作さんは人のどういうところを見ますか?
「弘志のように手を見て思ったとか、そんな素敵な記憶はないですけど(笑)。昔だったら、“一回会って話せば大体分かる”って不遜なことを言ってたような気がします。でも、今は人というのは複雑だなと思うし、十人十色と言いますけど誰一人同じ人はいないというのを、年齢を重ねるたびに思い知らされますね」
――40代になって変わったことや意識していることはありますか?
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