M/M(Paris)が感じる日本と「アイデアをプロデュースする」というスタイル--後編【INTERVIEW】
FASHION HEADLINE / 2015年4月17日 17時15分
M/M(Paris)は1992年に活動をスタートして以来、実にさまざまなブランドとの仕事をしている。アー・ペー・セー(A.P.C.)やルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)、ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)などのファッションブランドをはじめ、マドンナのアルバムジャケットやビョークのミュージックビデオを手がけるなど、ここでは書ききれないほどの幅広い活動を続けている。
なぜ彼らはパリを拠点にしているのか。 「パリを拠点しているのは、すごくクリエイティブに向いている場所だからだと思うから。大きすぎないし、小さすぎない。視覚的にもおもしろい街なので、すごくいいインスピレーションをくれる場所なんだ。あとは単純にフランス人だから自分の国の方が落ち着くのかも」と話すマティアスは、元々、生物学を学んでおり、小さい頃からアーティストになろうとは特に思っていなかったという。ただ、絵を描くことは好きだったようで、自分の部屋で小さな展覧会を開き、彼の両親を招待したという微笑ましいエピソードも教えてくれた。その後、「流れに身を任せた(笑)」と名門、パリ国立高等美術学校に入学し、後のビジネスパートナーとなるミカエル・アムザラグと運命の出会いを果たす。そしてマティアスとミカエルはグラフィックスタジオとして「M/M(Paris)」を立ち上げた。
アート、ファッション、エンターテイメントと縦横無尽に活動するからこそ、彼らの肩書きをひと言でまとめるのは難しいが、マティアスに今ならどんな肩書きがふさわしいか、尋ねてみた。「いつもぴったりと合う肩書きを見つけるのが難しいかな。特にグラフィックデザイナーとしてやってきているわけでもないし。だから、ユニット名も名前の頭文字をとって『M/M(Paris)』にしている。私たちは、物(作品)を作るのではなく、アイディアをプロデュースしているからね」とマティアス。また、ジャンルの垣根を超えた様々なプロジェクトに対するアプローチ方法も、特に振り分けておらず、同じ姿勢で挑むようにしているという。
ヨウジヤマモトやのほか、福島発のアートマガジン『X MAGAZINE』のロゴ、パルコの広告キャンペーンなど、日本に関わる多くの仕事もこれまでに携わってきた2人。約10年前に初めて来日してから何度も日本に訪れているというが、そんな日本からも多くのインスピレーションを毎回得ているという。「日本で好きなものはたくさんあるけど、私たちを初めて日本に招待してくれたアート・ディレクターの浅葉克己さんのことは尊敬しているし、感謝している。彼はバランスのとれた素晴らしい方だと思うよ」。M/M(Paris)がロゴを手がけたという『X MAGAINE』は、福島出身の八木沢俊樹が、東日本大震災に対する文化支援的な意味合いで、2013年に立ち上げたプロジェクト。M/M(Paris)をかねてから敬愛していた八木沢がメールを通じて直接オファーしたことで、コラボレーションすることになったという。「どんな困難な状況であっても生きることに対する信念が感じられるのは、世界中を見ても日本しかないと思う。東日本大震災や原発の問題からも、復興に向けて力を合わせる姿は本当に素晴らしい。だからこそ、福島発のアートマガジン『X MAGAZINE』でロゴを手がけたことは、微力ながら協力できたと思っているよ」。
グラフィックデザイン全盛期ともいえる1990年代に、視覚的に理解し合える“タイポグラフィ”を用い、そのミステリアスで暗号性のあるデザインでクリエイティブな表現方法を生み出したM/M(Paris)。そんな彼らがこれまでの20年にどのような道を歩んできたのか?その答えは、展覧会で見つけ出してほしい。
【展覧会場法】
M/M(PARIS)SUGOROKU DE L’OIE
会期:4月20日18:00まで
会場:パルコミュージアム
住所:東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷パルコ・パート1・3F
TEL:03-3477-5873
--【前編】「過去20年間のポスター作品からゲームのように紐解く、M/M(Paris)の軌跡」を読む。
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