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差別化が生んだ市場のドーナツ化。その穴を消費者に食べてもらいたい--「THE」水野学、中川淳、鈴木啓太、米津雄介1/2【INTERVIEW】

FASHION HEADLINE / 2015年6月10日 22時0分

「これこそは」と呼べるモノ=THEを生み出す「THE」のメンバー、水野学&中川淳&鈴木啓太&米津雄介

モノが有り余る時代に生きる私達。本当に欲しいと思えるモノに出合えているだろうか。

「これこそは」と呼べるモノ=THEを生み出していくこと、あらゆるプロダクトのスタンダードを更新し、定番の基準値を引き上げていくことを目指す「THE」の取組みについて、中心メンバーである4人に話を聞きました。

クリエイティブディレクター good design company 代表/水野学。株式会社中川政七商店 代表取締役社長 十三代/中川淳。プロダクトデザイナー PRODUCT DESIGN CENTER代表/鈴木啓太。そして、THE株式会社 代表取締役社長/米津雄介。2011年、「THE」は市場に対するある問いからスタートしたといいます。

■強すぎる差別化が引き起こした「市場のドーナツ化」

――「これこそは」と呼べるもの=THEを始めた理由とは

水野:70年代までは、ものづくりもテクノロジーが優先されていました。80年代以降は、テクノロジーがある一定水準を満たすようになり、そこで「差別化」という言葉に重きが置かれるようになりました。それが、2000年代になって、なお一層求められ、2010年代になると消費者が買うものがなくなってしまった。つまり、差別化の結果、消費者が本当に欲しいものがなくなってしまったんです。

鈴木:確かに、プロダクトデザイナーとしてプロジェクトに関わる時も、企業からのオファーで「差別化」を求められることもあります。差別化が必ずしも良いものを生む訳ではないんです。差別化を求めると自分たちが本当に欲しいものから離れていくこともあります。

水野:時を同じくして、NYでは“ノームコア”という流れが生まれました。文化レベルが同じであれば、世界中で同じような風潮が起きる。これが2010年代なんですよね。差別化を求め続けた結果、本当に欲しいものが市場になくなってしまっているこの状態を、僕は「市場のドーナツ化」と呼んでいます。このドーナツの穴の部分を、如何に消費者に食べてもらうかを考えて誕生したのが「THE」なんです。

■いいモノは、ちゃんと伝えていかなくてはいけない

中川:僕は、水野さんと(鈴木)啓太さんが準備を進めていた「THE」に途中から呼んでもらって参画しました。この話を聞いたとき2人と一緒に「THE」を作っていくことにすごく意味があると感じたんです。というのは、デザイナーがどれだけ素晴らしいものを作っても、その製品の魅力や背景の物語を、ちゃんとお客さんに届けないと続いていかないんです。そのためにするべきことの一番は、直接コミュニケーションをすることだと思います。だから、「THE」を始める時にも「まず、お店を持ちましょう」という話をしました。まだブランドを始めたばかりで、アイテムも2つか3つしかなかったのに、東京駅横にある商業施設「KITTE」にお店を作ることを提案しました。

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