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バージョンアップできる日本のOSと進化を止めているデザイン。グエナエル・ニコラに聞く、日本のデザインの未来【Interview】4/4

FASHION HEADLINE / 2015年7月19日 20時0分

グエナエル・ニコラさん

デジタル、WEB、スマートホンなどの普及に従って、変化が急に見えるデザインだが、果たしてそうなのだろうか?カメラのデザインはフィルムの頃から変わっていないし、アップルウォッチも旧態依然とした時計の形。デザインは進化を止めたのか?「ダーウィンが怒るよ」とニコラは笑う。20年以上東京でデザインオフィスを構え、日本語でインタビューに答えるグエナエル・ニコラ。日本人が気づいていない日本のシステムの先進性について話す。ロングインタビュー最終章。


――地震も多い日本になぜ25年も?

なぜだろうね?(笑) この小さな島国で約1億3000万人が暮らすためには。無駄を省いて、システマティックに運用しなければ社会は回らない。それはすごく先進的です。実は外国はあまり日本のことを分かっていない。ゴミの分別やリサイクルの方法や、エネルギー循環の問題もずっと昔から考えられて、日本という国が回っていることを海外の国は知らない。プリウスが発売されたのは18年前。すでに第4世代のプリウスが準備されていています。街の開発もすべてシステマティックに進んでいる。丸の内のエリア開発にしても15年前、もっと前から計画され、さらに今から15年後、30年後のことを見据えて進んでいる。今、建てているビルも30年後に壊して、次はどこに移転するという青写真のもと、計画が進んでいる。先日開通した首都高の環状C2にしても50年以上前から計画されていたことなのでしょう。ということは次の50年後のプランが既にあるということです。誰かが計画をして予定通り進んでいる。明日のことが、今決められているのではないのです。新しい車社会の準備もできているけれど、日本の技術は発表の時期を待っている段階。日本はプログラムソサエティという感じ。

――デザイン的にはどうでしょうか?

都市計画や技術の先進性に比べて、デザインの分野は遅い。うちの事務所にも言えることですが、これだけの技術と社会的な背景を持っていながら、今すでに世間にある技術を見てデザインをしている。私の目指すデザインはそうではなないのです。日本にはこれだけすばらしいバックグラウンドがあるんだから、それを使って新しいデザインをしたい。しかしながら、今はすべて待っている状態です。

――日本の未来は明るいとお考えでしょうか?

基本的に東京はオペレーティングシステム(OS)。コンピューターと同じでバージョンアップしていける。その仕組みは怖いと思うかもしれないけれど、それは無駄を省いた理想的なダイナミズムを持ったシステムだと思います。東京は政治とは関係なく、社会がしっかりしており、企業や人のレイヤーがちゃんとある。コアがしっかりしているので大丈夫です。変化に対して柔軟に対応できる。ヨーロッパは変化するものと変化しない物、静と動がセパレートしており、各国の文化がどんどんミックスし、コアが見えなくなっている。ひとつのシステムでの柔軟な対応が難しい。その点、日本はすごく未来的だと言えます。すごくシステマティックです。

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