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バージョンアップできる日本のOSと進化を止めているデザイン。グエナエル・ニコラに聞く、日本のデザインの未来【Interview】4/4

FASHION HEADLINE / 2015年7月19日 20時0分

――近代以降、効率を求めることで発展した国ということもあるでしょうね?

コンビニエンスストアに代表されるようにすべてシステムで運営されて、いろんなファンクションが集まって、街に店がなくなりつつあります。でもこれからは、コンビエンスストアのシステムが街に出て行く。コンビニのシステムを使ったストリートが形成されていくのではないでしょうか。電気や電話や銀行などのインフラもそのシステムで運営され、三菱の電気自動車が走り、三菱のマンション、三菱の銀行など企業グループがシステマティックに街を形成していくのが未来的な東京の構図でしょうね。それによって、昔の商店街の形が再形成されるかもしれない。それは非常に効率的です。東京の問題は土地の値段が高いことと、車のトラフィックの問題。それを解決するアイデアも私にはすでにあるので、その種をどこで発表するか模索中です。

――車のデザインもしているのですか?

今、未来の東京のショートムービーを作りたいので、車もデザインしています。

止まっているリアルワールド

――新しいデザインとは何でしょうか?

現代はすべてREデザインの時代で、昔の物の焼き直しがほとんど。新しいことが分からないからリユースしているだけで、それは止まっているということです。ダーウィンが怒りますよ。いらない物は捨ててしまって次に行かなければならない。レットイットゴー。デジタルカメラの技術はすごく進化しているけれど、みんな形はライカ。私はニュータイプを生み出したい。国の文化の違いによって箸やフォークが生まれたけれど、すべてがオープンな時代になった今、私は固有の文化を超えたものを生み出したい。1930年代のアールデコのデザインを見ても、あの時代に変えなければならなかったから、あのデザインが生まれたんです。新しいといっても美的価値だけじゃなくて人間の生活を変えてしまうデザインが必要。

――それはデジタルが人間の生活に深く入り込んだ社会に変化したから、それに対応したデザインが必要と言うことですか?

デジタルは人の時間を奪っている気がします。以前にはなかったデジタルに関わることで取られる時間が一人の時間を取っている。それによってできないことが増えている。社会のデジタル化が人の生活にプラスかマイナスのヴァリューは、まだ結果が出ていないと思います。本を読むには勉強のためとか、リラックスするためとか理由があるのだけれど、今はどんどん情報が入ってきて。その入ってくる情報を飲み込んで、咀嚼して消化する時間がない、ひとつのニュースを読んだら、次のニュースがもう届いているという状況。みんな情報を消化できず、現実がバーチャルの世界にシフトして、リアルワールドは止まっているように見えます。

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