ファッションを刺激するシェアパフォーマンス繰り広げる「HAPPENING」からの問いかけ【INTERVIEW】

FASHION HEADLINE / 2015年10月15日 20時0分

HAPPENING

ファッションを通じて、自己のアイデンティティに目覚めたことがあるだろうか? かつてナポレオンは「人はその制服通りの人間になる」という言葉を遺した。ファッションとは、身体に触れる場所で“私”や“貴方”が何者であるかを語るものなのかもしれない。

シェアパフォーマンスという手法で、ファッションがもっと自由に、そして、もっと楽しくあることを探求するのが「HAPPENING」。スタイリスト・伏見京子が代表を務め、ファッション批評家の平川武治やジャーナリストの生駒芳子らもメンバーに名を列ね、最終的にはアジアコレクションの開催を目標に掲げている。

14年3月の東京コレクションで行ったゲリラファッションショーを皮切りに、その半年後にはラフォーレ原宿を舞台にパフォーマンスを披露。15年3月には一面ガラス張りの選挙カーにモデルやデザイナーが乗り込んで渋谷パルコをスタートし、青山COMMUNE246まで、ゲリラパフォーマンスを繰り広げながら街を巡回した。

11年3月に東日本を襲った未曾有の震災をきっかけに、東京、そして日本のファッションの在り方に疑問を抱いたスタイリスト・伏見京子の呼びかけで始まった「HAPPENING」。なぜ、「HAPPENING」はそこまでファッションを刺激するのか。その理由を尋ねるべく発起人のスタイリスト・伏見京子さん、初回から参加するKOSHIRO EBATAのデザイナー・江幡晃四郎さん、クリエイティブ・ユニット「THE ME」の鈴木シゲルさん、鈴木メグさんに渋谷・Fab Cafe Tokyoで話を聞いた。

■「HAPPENING」を始めた理由

「HAPPENING」を始めた理由について、伏見さんはこう答える。「東京のファッション業界のクリエーション発表の機会について考えてみても、その働きがレールの中に納められています。例えば、インターナショナルな雑誌には、ドメスティックなファッションブランドを掲載できないような業界が作ったルールもあるから。それに、レールの上に乗らないことを選択したインディペンデントなデザイナーが生きていけるかというと、それも難しい。日本のファッション業界には、才能ある人たちを育てる環境がない。日本人が日本人を助けられないことに、怒りを感じたのが初動のきっかけです」。口調こそ穏やかだが、ファッションへの並ならぬ愛を込めて語る。

■「HAPPENING」からの問いかけ

4回目となる16SSの「HAPPENING」のテーマは“STATEMENT”。オールスタッフでテーマを決める中、声明文と名付けられた今回のテーマに行き着いたという。ファッションを通じて「私は、何だろう?」「貴方は、何なのか?」を考えるきっかけを作りたいというのが、今回の「HAPPENING」からのメッセージだ。「私は一体誰なのか? というステイトメントを告白していくことは、ファッションの分野においても大切なことだと思う」と伏見さんの後に、シゲルさんも「自分たちへの問いかけでもあるのですが、見てもらった人に何か感じてもらいたい。それが『最高!』でも『最低』でも構わないけど、何らかの刺激を与えることが出来たら」と続ける。

今回、もうひとつのテーマとして“ファッション×テクノロジー”というキーワードも掲げている。360°カメラのKodak PIXPRO Digital camerasがスポンサーとなり、日本で初めてファッションパフォーマンスの360°撮影を遂行するという。「私たち、別にテクノロジーに詳しいという訳じゃないけれど」と笑いながらも伏見さんは、「昔、ファッションと音楽が近かったように、今はファッションとテクノロジーが近くにあると思う。だから、その進化には乗り遅れたくないし、テクノロジーが身近にあるというのが面白いと思う」と言う。表参道と原宿の間を練り歩くスタイルでの発表とあって、それを動画撮影したものを拡散していくことも予定する。「自分たちでもどこがゴールか分からないでやっているけど、単純に分からないことをやるってことが面白いなと感じています」とメグさん。そう、「HAPPENING」は分からないということを、心底楽しめる集団なのだ。

■「HAPPENING」のクリエーションを支えるもの

世間にはステイトメントを掲げたものの、関わる人が多かったり、それぞれの求めるものが違ったりと、様々な理由でステイトメントが揺らぐことも少なくない。変化の多い大海原のような世の中に生きながらも、自分の信じる場所に向かって泳ぎきる力を「HAPPENING」のメンバーはどうやって身につけているのだろうか? そんな問いは愚問だったと後で知るのだが、そんな問いを抱いてしまった。

江幡さんは「『HAPPENING』として4回目のコレクションになる今回は、一番泳げてますね。手を動かす前に、イメージやビジュアルをかなり考えてからスタートしたから。今回は作りたいものがクリア」と語る。メグさんも「泳ぎたい時は泳いで、泳がない気分の時は泳がない。泳げているかなんて、考えたことない(笑)」。普段クライアントワークも担当する彼らが、シンプルに自分がいいと思うものを表現する場に「HAPPENING」がなっている訳だ。そして、「人間ってきっと、最高! って思うベストなことしかやれないはず。『最高じゃないことで生きていくわ』ではなくて、ベストとベストでぶつかるから、いいか悪いか言い合えると信じてます」と伏見さん。HAPPENINGが揺らがないのは、そこがお互いのベストを出しきる偽りのない場だからなのかもしれない。

『STATEMENT』をテーマに掲げたHAPPENINGの16SSコレクションは10月17日、原宿の街を舞台に披露される。13時からは、表参道ヒルズ横断歩道付近で、14時半からは、原宿駅付近でパフォーマンスを行う予定。インビテーションがなくても見ることができるので、ファッションが街中で描き出すストーリーを間に体験することも可能だ。

また、伊勢丹新宿店本館2階=TOKYO解放区では10月14日から20日の期間、「HAPPENING@TOKYO解放区」をオープン。挑戦的なファッションスピリットに共鳴した「HAPPENING」のデザイナーたちのTシャツ(8,000円)、スカーフ(5,500円)、iPhoneケース(3,500円)など、オリジナル商品が販売される。尚、18日からは、HAPPENINGの16SSコレクションも間近に見ることが可能だ。

この機会に、ファッションが与えてくれる高揚感を体験してみては。

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