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アーネスト・ヘミングウェイがもし今生きていたら--山下裕文×小暮昌弘1/2【INTERVIEW】

FASHION HEADLINE / 2015年10月24日 20時30分

山下:そうですね。

小暮:山下さん自身が、ヘミングウェイの写真、本、たくさんの資料を読み解いて、そこからインスパイアを受けて、自分なりに(ヘミングウェイらしい)服を作っているわけじゃないですか。(故)山口淳さんの書いた『ヘミングウェイの流儀』(今村楯夫共著 日本経済新聞社刊)。これはアーネスト・ヘミングウェイが着たものなどを一冊にまとめた本。ここに書かれているように、ヘミングウェイが着ていたものをそのままトレースするのなら簡単じゃないですか。例えば(彼が行きつけだった店)「アバークロンビー&フィッチ」風の服を作って、彼がよく巻いていたベルトをそのまま作って、みたいな発想だったら割と僕は簡単だと思います。例えばリーバイス(LEVI’S)の「501」が好きだったら、昔の「501」をそのまま作り直すことがデニム好きの頂点みたいなところがあったのを、山下さんはそうはしなかった。

山下:たぶんヘミングウェイをアイコンにしたブランドって、僕らが知る以上にたくさんあると思います。テーマとして、ヘミングウェイを扱うこともファッションブランドでは多いのでは。でも僕としては、ヘミングウェイはあくまで目標にすべきもの、憧れでもあります。いわば、神的な存在なわけです。ヘミングウェイが着ているものをまんまやるのであれば、「ウィルス&ガイガー」に行って、「これを同じものを作ってください」みたいにやるでしょう。それだったら僕がやる意味がない。ヘミングウェイがもし今生きていたら、どういう服を着るだろうか?そんなことを考えて服を作ってみたかったのです。

小暮:もしヘミングウェイが生きていたら、どんな服を今着るのでしょうか?

山下:この「アブサンシャツ」(長年モヒートで作り続けているシャツ品番)という開襟シャツ。おそらく彼はお金も名誉も手に入れた人だから、あまりネクタイをしめなくてもいい。スティーブ・ジョブズもそうですし、こういう人たちって、もう誰に気を使う必要もなくて、自由で開放的。でもどこか知的。それをイメージしてこの開襟シャツをデザインしました。「ヘミングウェイで最高の作品は自分自身」と言われる人物でしょ。彼と同じ服を作っても、もしかしたら彼にしか似合わないのでは。着せられているという感じになってしまう。だから小説のなかから気になるキーワードを拾い上げるかとか、住んでいた街だとか、家だとか、その周りの人をヒントに、それを服に落とし込み、あるいは空想して、時代性に合った服に仕上げる。それがモヒートの服をディレクションする醍醐味だと感じています。

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