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アーネスト・ヘミングウェイがもし今生きていたら--山下裕文×小暮昌弘1/2【INTERVIEW】

FASHION HEADLINE / 2015年10月24日 20時30分

小暮:例えばモヒートに「アルズコート」という名品があるでしょ。今季で、バージョンいくつ?今7作目くらいですか?

山下:16SSのコレクションで、10作目ですね。

小暮:もう10作目か(笑)。 モヒートは、そんな風に、何度も(同じ品番の服を)バージョンアップするわけですよね。男は定番好きといわれながらも、意外と世の中に定番って少ないじゃないですか。定番風のものはあってもね。しかも同じ品番を毎年ちょっとずつ進化させて行っているのがモヒートですね。

山下:産み出す側としては、全部を新しくするよりも、同じものを2回発表する方が、勇気がいりますね。例えば「アルズコート」など、展示会に出す前に自分で十分煮詰めて作り上げ、ほぼ変えようがないくらいのものを世に出しているつもりです。でもずっと買い続けてくれるエンドユーザー(お客さま)の方々には、常に進化の姿を見せないと。それで毎年新しい要素を加えてバージョンアップさせるのです。

小暮:同じ「アルズコート」でも、新作が出ると、またお客様は買ってくれるんですか?

山下:「アルズコート」は8枚とか9枚持っている人、いらっしゃいますね。「ガルフストリームパンツ」もそうです。

小暮:「ガルフストリームパンツ」、僕も2本買いました。

山下:11本とか持っている人も。「アブサンシャツ」だったら20数枚持っているとか。そういう方が普通にいらっしゃるんです。

小暮:なるほど。

山下:リーバイスの「501」は、世界で山のようにあるブランドの中で唯一、品番が品名になったアイテムです。僕らぐらいの歳になると、リーバイスを今まで10本履いたとか、毎年(同じ)ホワイトリーバイスを穿き替えるとかという人もけっこういらっしゃいます。そうなると僕らが「リーバイス」と同じことをやってもまず通用しないんです。だから「バージョンアップ」というテクニックが必要なんです。

小暮:モヒートは、いわば、スモールコレクションですよね。必要なものを必要なだけ作っているという感じを受けます。

山下:展示会にたくさんの品番を並べたり、同じような服をたくさん作り、バイヤーさんに「さぁどうぞ、選んでください」という見せ方よりも、僕は「これだけ選びました」という、ちょっと違うアプローチにしたいんです。僕がよく使う言葉ですけれど、「背骨をブラさない」。毎シーズン、コレクションが、何かガラッと変わるようなことは、僕好みではないんです。

小暮:展示会に出す前から、山下さん自身が吟味しているわけですね。削ぎ落としている。それって、もしかしたらハードボイルド。ヘミングウェイの生き方に通じますね。

山下:そうですね。そういう部分をヘミングウェイはすごく持っていた人ですし、モヒートもそうありたいんですね。

2/2に続く。-- 「洋服のルーツを、横に広げるんじゃなくて、下へ下へと、掘り下げていく」

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