三越伊勢丹3月期決算は増収微増益。消費マインド低迷する中、次なる一手はSPA戦略
FASHION HEADLINE / 2016年5月20日 13時0分
三越伊勢丹HDは5月11日、2018年度営業利益500億円達成に向けての3カ年計画の追加施策を発表した。仕入構造改革によるSPA事業化の推進、EC事業、ポイント戦略による新規顧客獲得、経費構造改革などを国内百貨店事業における計画必達の最重点項目に挙げた。
「百貨店の売上は人口構成ピラミッドなどを見ても、今後伸びない。IT関連の通信費がモノ消費のマインドを圧迫しており、中間層の消費の伸び悩みは継続していく傾向。特に衣料品の落ち込みが目立ち、婦人服における国内大手アパレルのNBが苦戦。MDミックスによるリスク負担による差益低迷への対応を図るためには仕入構造改革をさらに進め、今後SPA事業化の推進を図らなければ、(2018年度営業利益)500億円には到達できない。インバウンドの売上は前期(2015年度)1.8倍と増加したが、本来売上目標値として設定すべきではないと考えている」と三越伊勢丹HD・大西洋代表取締役社長執行役員は2016年3月期の決算発表で説明した。
同社の2016年3月期(2015年度)の連結決算は売上高1兆2872億円(前期比101.2%)、営業利益331億円(同100.1%)、経常利益367億円(同106.2%)と増収増益。三越伊勢丹百貨店事業単体では売上高6790億円(同103.5%)、営業利益243億円(同101.2%)、経常利益256億円(同98.4%)。
基幹店は堅調に推移したが、地方店が消費増税のマイナス影響から回復できておらず、期初の目標を下回る結果となった。また商品カテゴリー別でも衣料品が第2四半期より前年割れの状態が継続しており、婦人服は前期比97.5%と35億円の減収。売り上げ構成比も1.2ポイント低下した。好調を続けてきた宝飾品も円高株安傾向から第4四半期より陰りが見えはじめている。
大手アパレルのブランドの集約や廃止などによる売場撤退が相次ぎ、「お買場の商品を埋めるに自社で開発していかなければいけない」(大西社長)という地方店の現状から、今回の3カ年計画の追加施策の核となる仕入構造改革を当初計画の200億円以上から300億円以上に上乗せ。3カ年で50億円の営業利益増益を目指すため、SPA事業化の積極的な推進を図る。
SPA事業の具体的な売り上げ計画は、2015年度の売上実績が9億8000万円と好調にスタートを切った婦人靴ナンバー トゥウエンティ ワンの18年度30億円を軸に、イセンタンメンズが18年度20億円、スライス・オブ・ライフ同15億円、BPQC同20億円、イセタンタータン同15億円のSPAコンテンツで合計100億円規模の売上を計画。まず支店・地域店への拡大(社内卸)、国内外の有力百貨店、セレクトストアへの卸(別会社化)、外部出店(SPA事業)へとステップを踏んで、取り組み拡大を図る。
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