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二人三脚で生まれたアキラナカの“クチュールニット”に込められた技と熱量【対談】中章×早川靖子--1/2

FASHION HEADLINE / 2016年9月12日 21時0分

アキラナカ デザイナーのな中章(左)とアトリエ Manoaの早川靖子(右)

アントワープ王立芸術学院でファッションを学んだ、アキラナカ(AKIRA NAKA)クリエイティブディレクターの中章。表層的な美しさだけではなく、心の中からその人の美を引き出すようなアプローチで服作りを行っている。

彼が「手に取れるクチュール」と呼び、クリエイションの中でも特に熱量を注ぐのがニットだ。

今回のインタビューは、“ニット”という言わば職人仕事であるアートフォームを横軸に、そして、中章自身のファッションに対する考えや想いを縦軸にして、アキラナカの”これまでとこれから”を展望する。

前述のとおり彼は、数々の有名デザイナーを世に送り出してきたアントワープ王立学院でファッションを学んだ。同校・同地域で生活し、呼吸したことがニットへ傾倒することのきっかけとなった。

「アントワープでは生活の中に、”ニット”が自然と溶け込んでいます。編み物を趣味としている人も非常に多く、毛糸屋さんなるものが街の中に何軒もあるんです。毛糸もかなりの種類があって、店の奥では女性たちがクラブ活動的に編み物をしています」

例えば、アキラナカの初期代表作であるグラデーションニット。これはニットの編み地が布帛の生地に溶けて消失していく様を表現したものだ。

「ヨーロッパ的、バロック的な造形美に憧れた時期もありました。しかし、あくまでリアルに根ざした服作りを行う上で、そこには限界を感じていました。この造形美を超えていけるものはなんなのかと考えて、素材が『徐々に融けて消えていく』ことを思いついたんです。これは機械にはできない。段階的に編み地を薄くして、布帛の繊維と馴染ませていくのですが、機械だとどうしても横に線が出てしまう。手仕事でしかできなかったんです」

著名ブランドの多くは、機械で量産に入る前に手編みで、”原型”を起こす。工場に依頼する前に見本を作るというわけだ。しかし、機械編みで量産すればするほど、クオリティコントロールは難しくなる。中に言わせれば「ハンドニットに宿る迫力は、機械とは比べ物にならない」という。


アキラナカ13春夏コレクションより

「機械には機械の良さがあります。その上で、機械が絵画としたら、ハンドニットは彫刻みたいな感覚です。目の立ち方も違うし、リブの出方なんかも全然違います。どうしても、ハンドニットの魅力を自分のブランドに取り入れたかった。それで日本に帰ってきて、頼れるハンドニットの製造元を探したんですが、なかなか見つからず…。ニット教室なども一軒一軒当たってみたんですが、一個だったら作れるけど、2つ3つと同じものをしっかりと出すことが、すごく難しいと言われて…」

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