前衛的でいて、機能的--ジュエリー界の若き“惑星”KOTA OKUDA【INTERVIEW】
FASHION HEADLINE / 2016年12月30日 14時0分
「ジュエリーで臨む」と決めてからは早かったといいますか、のめり込みました。卒業制作のタイミングで「ITS」の募集があって、その時はスワロフスキー社が後援でした。テーマは「未来」。スワロフスキーを使っての制作でした。
ーーで、グランプリを獲ってしまうという。
未来のみではなく、“未来と過去” それぞれのエッセンスをミックスさせて映画『2001年宇宙の旅』のような世界観を目指しました。技巧的にはスワロフスキーの最大の魅力を逆手にとって、その“輝き”をいかに抑えるか、様々な手法を試しました。塗装したり、燃やしたり…。でも暴力的な要素は入れたくないですからね。結果的に、アクリル板で“覆う”という方法に落ち着きました。スワロフスキーの輪郭を消し、光を完全にではなく、ちょうどいい塩梅に抑えてくれて、思い描いていたものが形になりました。
KOTA OKUDA「PIONEER DAYS EARLY LIFE」
KOTA OKUDA「PIONEER DAYS FUTURE」
ーー“覆う”という抑制の効いたミニマルな表現からは、日本独自の美意識も感じました。
作品によっては身につけた人の顔が屈折により歪みます。ジュエリーを身につけることで、その人に変化を与えるーーこれが重要だと考えています。身につけた人への印象もそうですし、身につけた人自身の心理もポジティブなものへと導かれる、そんなジュエリーを目指しました。
ーーそういった意味でいうと、コスチュームジュエラーとしてサポートした2016年春夏のRyohei Kawanishiのジュエリーたちは、綿棒や歯間ブラシ、ドアノブなど既にしてあるものを新たな価値あるものへと変化させていますね。
このシーズン、川西はマルセル・デュシャンの大ガラスに強く影響を受けています。デュシャンはレディメイド(既製品)でアートの世界に影響を与えた人物です。デザイナーの川西ともミーティングを重ねましたが、2人して「とりあえず、ホームセンター行こう(笑)」って。陳列してあるものを違った角度から見つめ直して、新たな美的価値の付与を目指しました。
コスチュームジュエラーとしてサポートした2016年春夏のRyohei Kawanishiのジュエリー
ーーデザインへのアプローチについて教えてください。
リサーチを最初にします。集めた言葉や画像、全ての情報を軸にムードボードを作成します。それらのリサーチを基にスケッチや簡単な立体造形を制作し大まかなイメージを固めていきます。一部はコンピュータによるCAD設計で細部を詰め3Dプリンターで出力。その後、手作業による金属での形成や加工をしていきます。金属の重さや大きさ・用途・も大切なポイントになりますので、身につけていただけること、お買い求めいただけることなど逆算的なデザインも目指しています。
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