1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

映画『ハイヒール』イ・インチョル監督「“考える”という人間らしい行動を誘発する作品に」【INTERVIEW--1/2】

FASHION HEADLINE / 2017年6月17日 17時30分

3年前、映画祭のために訪れた、カンヌでのこと。毎朝プロデューサーである妻と一緒に街中を歩いていたのですが、その日は普段行かないお店に入りました。何気ない時間を過ごしていた時、ある瞬間彼女が履いていたミハラ・ヤスヒロの黄色いハイヒールが妙なほど目に留まり、アイディアがパッと現れてストーリーの概要が生まれました。頭の中でストーリーの断片を繋ぎ合わせるようにアイディアを探り寄せ、内容を深くまで掘り下げて、1年ほどでシナリオが完成。

キリストが誕生し、文化や経済が大きく発達してきた約2000年。さらに2000年経った先の未来は、すべての物事に対して効率化を求めた人間が、本来持っていた欲望を捨ててアンドロイドという最も効率的な生き方を選んだ、という世界。“こだわり”という欲望、“好奇心”という欲望、“自由”への欲望、すべてを手放した状態です。映画ではそんなアンドロイドに欲望という感情が蘇った瞬間を物語にしました。


――豪華なキャストと、日本を代表するクリエイターが製作に携わっています。キャスティングやチーム編成はどのように行われたのですか?

人脈もツテも何もなかったのですが、依頼したいと思った方に直接ご連絡しました。インディペンデント映画とあって予算も低く、短編映画にも関わらず、台本を読んで依頼を承諾して下さったんです。世界で活動しているこれだけの面々が、5日間の撮影スケジュールが合ったのが奇跡のよう。



『ハイヒール ~こだわりが生んだおとぎ話』のワンシーン
主演の菊地さんの役どころは、当初男性の予定でキャスティングをスタートしました。しかし、Kaiの人物像にぴったりと合う人を見つけられず......。「なにも男性にこだわる必要はない」とふと思い、ジェンダーレスのKaiをイメージしたら菊地凜子さんの名前が一番に浮かんだんです。台本をお渡しして出演OKを頂き、初めてお会いしたのは撮影スタート直前でした。遠い未来の世界に生きるジェンダーレスのアンドロイドという独特の役どころですが、僕から多くを説明する必要なく、台本を読み込んでKaiや映画の世界観を深く理解して下さっているようでした。

撮影や映画製作の経験は僕よりも豊富に重ねている方々に囲まれて、自分自身学ぶことが本当に多かったです。それぞれが与えられた役割に責任を持って、いいモノを作りたいという同じゴールに向かって進んでいけたと思います。


――独特の世界観を描くには、ロケーションや映画セットも重要な要素かと思いますが、こちらはどのように決まったのですか?

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください