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イ・インチョル監督「常に自己満足を否定しながら映画製作に臨む」【INTERVIEW--2/2】

FASHION HEADLINE / 2017年6月17日 18時0分

映画『ハイヒール ~こだわりが生んだおとぎ話』

「映画の最良の出来事はすべて偶然に起きる。そして、監督は偶然をコントロールすることができる」―1900年代に異彩を放ったアメリカ人映画監督オーソン・ウェルズ(Orson Welles)が残した言葉。イ・インチョル監督への取材後、この名言が思い出された。映画『ハイヒール ~こだわりが生んだおとぎ話』製作の話の中で、「偶然」だけでは片付けられないような出来事がたくさんあったことを聞けたからだろう。

ウェルズ監督自身は『市民ケーン』(1941年)や『偉大なるアンバーソン家の人々』(1942年)など名作を生み出したものの、商業的には失敗した監督だった。彼のように売れる作品と創りたい作品のジレンマに陥る監督は映画界には多い。莫大な制作費がかかる映画業界では、そのバランスを上手くとれる人は極めて少ないのだ。

イ・インチョル監督は多くの映画を観てきただけではなく、映画監督の人生にも詳しく、創りたい作品を撮るための道筋を冷静に見極めているようだった。今年後半からは、二人三脚で歩むプロデューサーとともにロサンゼルスに拠点を移し、映画製作に本腰を入れるという。弱冠28歳の彼の監督キャリアは、次なるステージへと進んでいるようだ。


――膨大な数の映画を観てこられたと思いますが、映画に興味を持ったのはいつからですか?

映画を見始めたのは10代後半からです。それまでは本の虫で、小説ばかり読んでいました。中学生の時に本を映画化した作品を観に行ったのですが、ストーリーは面白いのに映画は全く良くなかったのを記憶しています。惹かれたという意味での興味ではなく、「なんでこんなに面白くないんだろう?」という興味が、映画を見始めたきっかけです。

中学卒業後すぐに大学受験資格を取得しましたが進学はせず、韓国で映画製作に携わるようになりました。演出部として日韓合作の映画に関わった後、19歳で日本に拠点を移しました。

移動においては本よりも映画の方が軽くて持ち歩きやすかったことと、日本では一人でいる時間が多くなったこともあり、多くの映画を観るようになりました。スタイルが魅力的であったり、ストーリーが面白い映画など、さまざまなジャンルが存在しますが、評判や広告に流されることなく考えながら映画を観てきました。作り手側の人間についてもよく調べます。

『ハイヒール ~こだわりが生んだおとぎ話』を観た人に“考える”きっかけを与えたいと述べましたが、僕自身何をするにも常に考えて行動しています。日常生活の中の細かい行動も全て。まるで自分の“こだわり”を確認するかのように。

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