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ピッティ宮殿を言葉でジャックしたオフ-ホワイト【ピッティ・ウオモ92】

FASHION HEADLINE / 2017年6月24日 13時30分

オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー2018年春夏メンズコレクション

6月15日に行われたピッティ・ウオモ92、3日目のスペシャルプログラムとして行われたオフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)の2018年春夏コレクションは、ピッティ宮殿前の広場が会場。これまでウィメンズコレクションはパリで発表されていたが、メンズのランウェイでのコレクションは初となる。

屋外でのライトプロジェクションということもあり、日没時間の影響から当初のアナウンスされていた開始時刻から大きく変更になり、実際にイベントがスタートしたのは22時を過ぎてから。開演までの間、毎年この時期に開催されているフィレンツェ5月音楽祭(Maggio Musicale Fiorentino)の演目が延々と流れる。

今回、同ブランドがコラボレーションの相手に選んだのは80年代にワードアートという新しい表現を生み出したジェニー・ホルツァー(Jenny Holzer)。フィレンツェという舞台で彼が選んだのは、ヒップホップやストリートカルチャーからのキュレーションではなく、アメリカの現代美術作家だった。

映像はピッティ宮殿の左右二つに分けて、別々の内容のワードアートが約15分にわたり投影。内容は第二次世界大戦時に看護婦として働いていたワルシャワの詩人、アンナ・スゥオルツカヤ(Anna Swirtszczynska)の作品『Building The Barricade』の30を超える叙事詩からのピップアップされた言葉。もう一つは現在、シリアやパレスチナで起きていることに対してイラン人の詩人オミッド・シャムス(Omid Shams)、シリア人小説家オサマ・アロマー(Osama Alomar)など、現実にさまざま紛争に巻き込まれた当事者たちによる詩編や言葉で構成された。

強いメッセージを言葉として表現するという方法論は、かつてクリストの展覧会が日本で行われたときに、ホルツァーが東京の電車を文字でジャックしたインスタレーションと同様だ。今回はオフ-ホワイトのステージでホルツァーがピッティ宮殿をジャックした。

Text: Tatsuya Noda

今回のコレクションのテーマは、「温度(temperature)」とだけ、表現されている。“ホット”と“クール”はその置かれた環境によってどのようにも取れるというヴァージルのモード観なのかもしれない。

その映像をバックに始まった2018年春夏コレクションはフロントローのVIPでさえ、素材やディテールを確認することは容易ではなかったはず。スタジアム状に組まれた上の客席からは、モデルは豆粒程度にしか見えない。

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