東京国立博物館で9月に海外初の展覧会「フランス人間国宝展」開催
FASHION HEADLINE / 2017年8月28日 13時0分
日本の人間国宝(重要無形文化財)を元に1994年に策定された「メートルダール」(Maitre d’ Art)の海外初の展覧会「フランス人間国宝展」が9月12日から11月26日まで東京国立博物館表慶館で開催される。
現在124名が認定されているフランス伝統工芸の最高技能者に授与される称号であるメートルダールを認定された作家を中心に15名の匠が選ばれ、約200点の作品が一挙公開される。その内、約75%が今回の展覧会のために新たに制作されるもので、東京でのお披露目を終えた後、パリの伝統工芸を世界に広めることを目的に活動を続ける主催団体のHEART & craftsが発起人となるWONDER LABプロジェクトとしてアジア各国を巡回する予定。
「今回の展覧会は、古くは王制時代からあるフランスの伝統工芸職人たちの過去、現在、未来への旅。今回作品を展示する15名の作家たちは単に伝統を守っているとだけでは無く、常にイノベーションを図り、次の世代へ継承していくことに重点に置いていることが共通している」とティエリー・ダナ駐日フランス大使は話す。同称号を与えられた作家には、最低3年間、弟子を取って技術と共に道具も伝承することが義務づけられているという。
また、3年前にフランス政府がこれらのアーティスト、作家たちのために新たにリニューアルオープンした京都のヴィラ九条山に滞在し制作活動を行った作家たちも今回展覧会に参加。京都の伝統工芸職人と交流した作品も出品される予定。
ジャン=ポール・ゴルチエのドレスで注目を集め、シャネル、ニナ・リッチ、ジバンシィなどのオートクチュールなどを手掛ける羽細工作家のネリー・ソニエ(Nelly SAUNIER)は、2015年にヴィラ九条山に滞在。20世紀中頃になくなりつつあった18世紀に歴史が遡れる壁紙を復元した壁紙作家・フランソワ=グザヴィエ・リシャール(Francois-Xavier RICHARD)は、2017年4月まで同地に滞在。今回は会場展示のデザインを担当するリナ・ゴットメと共同で壁紙を制作する。
それ以外にも、40年以上にわたり曜変天目の研究に人生を捧げる仏で最も有名な陶芸作家のひとりであるジャン・ジレル(Jean GIREL)が、今回の展覧会のために60点の新作茶碗を展示。
また、シャネル、ディオール、サンローランなどオートクチュールメゾンをはじめ、アルマーニなど高級ブランドのインビテーションカード、コフレなどを手掛けているエンボス加工(ゴフラージュ)作家・ロラン・ノグ(Laurent NOGUES)は、日本の製紙メーカーの協力で特殊加工紙「パチカ」を用いた盲目の人たちが触れて読むことの出来る本を展示するなど、日本の新しい技術や伝統工芸との共同制作作品も展示される。
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