山本寛斎1/2--削ぎ落として生まれた結晶のようなショー【INTERVIEW】
FASHION HEADLINE / 2014年1月1日 21時0分
山本寛斎氏
1971年よりファッションデザイナーとして活躍、日本人で初めてロンドンでショーを開催し、アーティスト、デヴィッド・ボウイのステージ衣装を担当。そして、1990年代からは、イベントプロデューサーとして活躍する山本寛斎。
昨年、42年ぶりとなるロンドンでのショー「Fashion in Motion: Kansai Yamamoto」をヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)にて開催。1月2日からは伊勢丹新宿店でポップアップイベント開催も決まり、新しい一歩を踏み出す山本寛斎に話を聞いた。
――まずは、今回のロンドンでのイベントについて、伺えますか?
イベントが成功だったという点では、42年前と今回で似たような印象があります。ただ、やはり違うのはコンピューターやインターネットというツールですね。新聞とテレビが主な情報源だった当時と比べ、反響のあり方、感情の伝達の仕方がものすごく違うと感じました。そういう点では40年という時間によって大きな変化が生まれるのだなと思います。
――まずV&Aでデヴィッド・ボウイの回顧展があり、史上最大級の動員数があって、そこでは寛斎さんの衣装がメインとなった。今回のイベントによって、過去のクリエーションと現在のそれが完全につながったな、という印象を受けますが、ご自身はいかがですか?
実は、今回の「David Bowie is」展で、私は他の人が彼のためにどんな服をデザインしていたのか、初めて見たんです。そこで改めて、私の服が彼と一番相性が良くて、実際に彼は私との衣装の時が一番勢いがあったんじゃないかと感じました。それはどうしてか。
当時、彼はロンドンからニューヨークへ行って、世界へ出るぞ、勝負するぞという思いを抱いていた時期。私もまた、日本から世界へ出ようとする勝負の思いがあり、そうした2人の思いが足し算になったということが一つ。もう一つは、西洋人と東洋人という、価値観や美学が全く違う者同士が激突したというのが鍵だったのかなと思っています。
――今回のショーでも、寛斎さんの溢れるエネルギーがロンドンの観客に存分に伝わっていました。
ロンドンで40数年前にショーをやりましたが、あの地を選んだのには訳があるんです。当時から私は“奇抜な“格好をした青年で、山手線に乗るとみんなが「ぎょっ」とした視線を向けるんですね。それがロンドンを歩くと、両脇のショップから女性店員達が出てきてワーワーと褒めてくれるというのが、分かったわけです。その頃は三波春夫さんが「お客様は神様です」という言葉を流行させましたが、私は「日本のお客様は神様じゃない、ロンドンのお客様が神様だ」と心の中で思っていたくらいです(笑)。
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