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三原康裕2/2--伝統工芸の活路は海外にある【INTERVIEW】

FASHION HEADLINE / 2014年4月1日 21時30分

これからはテクノロジーと伝統の融合した素材に注目しているという

――2月上旬にニューヨークでオープンしたポップアップショップ「ニッポニスタ」では、一足早くサンプルが展示されましたが、その反響は?

メンズコレクションの直前だったので現地には行けませんでしたが、注目を集めたと聞いています。中でも「購入したい」という声が聞けたのは、嬉しかったですね。僕は革の雪駄も作っていますが、あえて靴に焦点を絞ったのがよかったのかもしれません。藍は魅力的な染料。また、青は人間に心理的な作用をもたらす色でもある。海外の人にも興味を持ってもらえたので、これを機会に、藍染めがどんどん広がっていくといいですね。

――伝統工芸は後継者不足など、多くの問題が取り沙汰されますが、現状をどのように捉えていますか?

産地によって、そのスタンスは両極端です。絶滅危惧種のように世間の同情を受けながら、モノ作り続けている人達もいれば、歴史の中で培ってきたノウハウを最大限に活用しつつ、次のステージを見ている人たちもいる。後者は新しいマーケットを開拓し、未来へと歩みを進めています。

――新しいマーケットとは海外のこと?

そうです。日本の伝統工芸に目を向けているのは、意外と海外の企業が多いんです。たとえば、西陣織は名だたるビッグメゾンからの受注を数多く受けています。ですから、藍もしかり、日本が誇る伝統工芸は、どんどん海外に向けて発信していくべきなんです。前に進んだ人から扉が開け、新しいことに取り組んでいけるのだと思います。

――今回のプロジェクトでも、手応えを感じた?

僕自身も浅草の靴問屋からキャリアをスタートして、今はパリを舞台にコレクションを発表している。自分が作ってきたモノが、未来の自分を作ると信じています。今回は産地の方々と共に、未来に向けた取り組みができたので、とてもやりがいを感じました。三越伊勢丹が「あおもり藍」にスポットライトを当てたことで、これからどんどん化学反応が起きることを期待しています。産地の方々には、これをチャンスに次のステージに進んでもらえたら嬉しいですね。まず海外でお披露目できたことは、大きな意義があったと思います。

――伝統工芸の伝統と革新についてどう考える?

多摩美術大学テキスタイル学科の学生だった時、加賀友禅の工房を見学する機会がありました。そこで使われていたのは、昔ながらの道具ではなく、最新の道具でした。「伝統は美しいモノを作る精神であって、歴史をそのまま引き継ぐものでない」と職人に言われたことを今でも鮮明に覚えています。その時代の最先端の道具や素材、技術を使い、進化させていくのが伝統だということに気づかされました。伝統と革新とは、古いモノと新しいモノではないのです。

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