森美術館で「ゴー・ビトゥイーンズ展」開幕。子供の視点でとらえた世界
FASHION HEADLINE / 2014年5月31日 22時0分
東京・六本木の森美術館は5月31日から8月31日まで、「ゴー・ビトゥイーンズ展:こどもを通して見る世界」を開催する。30日、内覧会と記者発表会が開かれ、全容が公開された。
「ゴー・ビトゥイーンズ(媒介者 )」とは、英語が不自由な両親の橋渡しとして様々な用務をこなす移民の子供達のことを指し、これが本展のキーワードとなっている。異なる文化の間、理想と現実の間、大人と子供の狭間など、様々な境界を行き来する子供を媒介者としてとらえ、作品に表れる子供のイメージを通して子どもを取り巻く環境や対峙する問題に目を向ける。また常識や伝統の枠組みにとらわれない子供の創造性と多様な感覚にも着目している。
場内は五つのセクションで構成され、世界各国のアーティスト26組の作品110点を展示する。セクション1では、多文化の中で生きる子供達にスポットを当て、ジェイコブ・A・リース、宮武東洋らの19世紀末から20世紀初頭に撮影された貧困の子供達の写真や収容所の写真などが並ぶ。金仁淑は在日コリアンの家族写真や朝鮮学校の子供達の写真を、ジャン・オーは米中間で養子縁組された親子の写真を展示。
セクション2は、“自由と孤独の世界”。大人が忘れてしまいがちな子供特有の孤独感と、それゆえに得ることのできる自由で独創性溢れる世界に着目。日本初公開となる奈良美智の「ミッシング・イン・アクション」が冒頭を飾り、住みなれた家の部屋で遊ぶ子供の姿をとらえた、小西淳也の写真が並ぶ。またテリーサ・ハバードとアレクサンダー・ビルヒラーによる「エイト」は、始まりも終わりもない無限にループする映像作品で、8歳の誕生日パーティをひとりぼっちで祝う少女の姿を夢とも現実とも言えぬ描写で映し出している。
セクション3では、傷ついた思い出、戦争の記憶、日々の葛藤など、子供達の“痛みの経験”に向き合う。ストーリー・コーのアニメでは親子の会話が描かれる。クリスチャン・ボルタンスキーの「シャス高校の祭壇」はウィーンのユダヤ人学校に通う子供達の肖像写真を使った作品で、ナチスによるユダヤ人大虐殺を想起させ、時代に翻弄される子ども達の悲劇について考えさせるものだ。
セクション4では、思春期の子供の姿を通して、大人と子供の境界を行き来する子供の性質について注目する。梅佳代の切り取った多感な女子中学生の写真、菊地智子による映像作品「迷境」は大人と子供、男と女の境目に立つ中国人の女の子の姿を映し出す。
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