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パリの多国籍な食文化に触発される、画家・イラストレーター田中麻記子が創造する世界【INTERVIEW】

FASHION HEADLINE / 2017年10月31日 11時0分

筆者の一週間は、FASHION HEADLINEの12星座週間占いをチェックすることから始まる。ムーン・リー先生による占いメッセージを受け取りつつ、添えられている可愛いイラストに癒されるのが毎週の恒例。気ままで愛らしく、個性のある12星座のキャラクターを描いたのは、パリ在住の画家・イラストレーターの田中麻記子さん。

占いページの原画
ピエール・エルメ・パリ『マカロンデー2017』のコラボレーションと青山店のシンボル『マカロン・ベイビー』のデザイン提供、資生堂が出版する花椿GIFアニメ連載『空想ガストロノミー』など、数々のイラストを手掛ける彼女だが、イラストレーターとして活動を始めたのは2年程前とまだ浅く、20年近く画家の道を歩んできた。イラストを手掛けるようになったのは、2013年に文化庁派遣在外研修員として渡仏してからで、パリが引き寄せた偶然だったようだ。郊外に構える自宅兼アトリエで、作品を手にしながらその経緯を教えてくれた。

画家・イラストレーター田中麻記子さん

「当初住んでいたアパルトマンの大家がたくさんの紙切れを置いていたので、日課として一日一枚絵を描くことにしたんです。最初はパリの街中で見かけた様々な人種の女性のポートレート。やがてオブジェ、陶器と変わっていき、いつの間にか食べ物へと変化しました。2年で1000点以上絵が溜まっていて、出版のお誘いがあり、厳選してまとめた作品集『La collection gastronomique』を出しました。この作品集を機に、イラストのお仕事で声がかかるようになったんです」。

作品集『La collection gastronomique』
幼少期からとにかく絵を描くことが好きだったという。美術大学を卒業後、貸ギャラリーで個展を試みるも、全く売れず苦渋を味わうこともあった。多くの画家やアーティストが道半ばで諦めてしまうことは多いが、「ただ純粋に描くことが好きで、心に従って描き続けてきた」と微笑む彼女の表情には、多年の経験を積んだからこその優しさが滲み出る。風向きは徐々に変わり、国内外での展覧会開催、2009年には岡本太郎現代芸術賞入選も果たした。画家としての作品は、同一人物が描いたとは思えないような作風の異なる、サイケデリックな色彩の油絵や、鉛筆で描かれたモノクロームの幻想的な架空の世界。時に力強く、時に繊細な作品はどれも独創的だが、容易に噛み砕くことのできない複雑さがある。その複雑さは神秘的な魅力に置き換えられ、意外性に満ちた彼女自身の人柄を投影しているよう。

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