太宰府天満宮でフィンランドとつながりの深い2人の日本人アーティストが展覧会を開催!
FASHION HEADLINE / 2018年4月11日 14時0分
太宰府天満宮では、フィンランドとつながりの深い2人の日本人アーティスト、陶芸家の石本藤雄と、写真家の津田直による「太宰府、フィンランド、夏の気配。」を、5月12日から7月1日まで開催。宝物殿では「実のかたち」と題し石本藤雄の陶器作品を、そして文書館では「辺つ方(へつべ)の休息」と題して津田直の写真作品を展示する。
太宰府天満宮宝物殿企画展示室では、石本藤雄の陶展「実のかたち」を開催。石本は、1970年から現在に至るまで、ヘルシンキを拠点に数々の作品を発表してきた。フィンランドのライフスタイルブランド、マリメッコ(Marimekko)においてテキスタイルデザイナーとしての才能を開花させ、当時手がけたファブリックは今なお、世界中で愛され、多くの人々に使われ続けている。1989年以降は活動の軸足を陶芸へと移し、現在はフィンランドを代表する陶器メーカー「アラビア」のアート・デパートメント部門に構えるアトリエにて、陶の表現を追求。その作品世界の魅力は、人間を取り巻く広大な自然へ向けたまなざしから導き出されるモチーフと、独自の感性で施される色彩の豊かさにある。幼少期を過ごした故郷、愛媛県・砥部町での原風景は、フィンランドでの暮らしの中で触れてきた草木、花、生き物、海、陽射し、風、あらゆる自然環境と響き合い、石本作品の表情となって現れてきた。立体作品「冬瓜」©Chikako Harada/Fujiwo Ishimoto
見どころは、会場中央に“ゴロン”と展示される、冬瓜をモチーフにした新作である陶の立体作品「冬瓜」。ヘルシンキ在住の石本にとっては馴染みの少ない冬瓜だが、その個性的な形に魅力を感じ、初夏をテーマにした本展のために初めて作陶のモチーフに選んだ。形に加えて特徴的なのは、使われている土と釉薬。テラコッタの質感をそのまま活かしたものや、艶のある黄色や緑色など、写実性にとらわれない石本の豊かな陶表現を間近で感じることが出来る。冬瓜モチーフは壁面に展示されるウォールレリーフと大皿にも登場する。
ガラスケースに仕切られた壁面では、太宰府天満宮のシンボルである梅をモチーフにしたウォールレリーフを展示。石本の記憶に刻まれた梅の実のイメージを掘り起こし、かたどられた作品は、枝に実をつけたばかりの様子から熟して自然に落ちる光景まで、さまざまな姿を想起させる。ここにも、実物の梅にとらわれた写実的な表現に興味はない、という石本の作品世界が凝縮されている。
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