高校無償化の所得制限。「受給できる世帯」と「受給できない世帯」をチェック!
ファイナンシャルフィールド / 2022年2月22日 23時0分
もうすぐ高校生という年代のお子さんを持つ家庭では、高校無償化の制度に関し情報を得たいと考えているのではないでしょうか。所得制限の要件によって受給できるか否かが異なるため、自分たちの場合はどうなるのか事前にチェックしておくことが大切です。 この記事では、高校無償化にスポットを当て、受給できる世帯とできない世帯に関し解説します。
高校無償化の所得制限とは
高校無償化は、正式名称を「高等学校等就学支援金制度」と言います。国・公・私全ての高校に関し、要件を満たす世帯は授業料が一部免除、または無料となる制度です。現行の制度は平成26年4月以降の入学者から適用となっています(平成26年3月以前の入学者には旧制度の適用です)。
仕組みとしては、授業料分の就学支援金を国が各世帯に給付し、それらがそのままダイレクトに学校へ授業料として支払われる形となります。このような流れにより、各世帯の実質的な授業料負担が軽減されるということです。
公立高校の支給限度額は月額9900円(ただし高校の形態により限度額が異なります)。私立の場合は月額の限度額が2種類あり、公立と私立とで異なるので混同しないよう気を付けましょう。
なお、公立と私立では所得制限の要件なども異なります。それでは次に、高校無償化の具体的な所得制限について、受給できる世帯・できない世帯を見ていきます。
高校無償化を受給できる世帯
高校無償化を受給できるのは、「保護者等の課税標準額(課税所得額)×6%-市町村民税の調整控除額」の計算で導き出される金額が「30万4200円未満」の世帯です。課税標準額とは、所得税の算定の基準となる所得額のこと。
市町村民税の調整控除額とは、所得税から個人住民税へ税源移譲を行うことにより、納税者の税負担が増さないよう調整的な意味合いで控除される金額のことです。課税標準額や市町村民税の調整控除額は世帯により異なりますが、これらの要件を踏まえると、おおよその目安として年収約910万円未満の世帯が受給の対象となります。
ただし、これは世帯で働いている人が1人で、かつ高校生の子どもが1人の場合です。共働きかそうでないか、高校生以上の子どもの人数や年齢などによっても受給対象となる年収はやや変動するので注意が必要です。
例えば共働きの場合はそれぞれの課税標準額を合算して計算する関係上、共働きでない世帯よりも受給対象の年収ラインが高く、約1,030~1090万円が無償化対象です。
また、高校生の子どもの人数が2人以上になると、収入から控除される「扶養控除」の額が増えるので、結果受給対象の年収ラインが少し上がります。なお、高校生のほか、19歳以上23歳未満で合計所得が48万円以下の子どもを扶養している場合なども、受給可能な年収のラインはやや高くなります。
高校無償化を受給できない世帯
高校無償化を受給できないのは、前の段落で説明したような所得制限をクリアしていない世帯ということになります。例えば年収が1200万円の世帯などは高校無償化の対象にまずならないでしょう。
一人で1000万円近くの年収を稼ぐ人はそれほど大勢いるわけではないため、世帯主の年収を考えて「わが家は大丈夫だろう」と判断する方もいるかもしれません。
しかし、高校無償化の対象となるか判断するときの年収は世帯主の年収ではなく、世帯全体の年収です。高校生の子どもが1人いる世帯で、父親の年収が700万円、母親の年収が300万円となれば、世帯年収は合計1000万円になるので、無償化の対象にならない可能性が高くなります。
厚生労働省が行った「2019年 国民生活基礎調査」によると、所得が900万円以上となる世帯は全体の約16%。10人に1~2人と考えるとそう珍しくないとも言えます。そして所得の平均額が高い世帯は、世帯主が「50~59歳」次いで「40~49歳」となっています。まさに、高校生の子どもを持つ親世代とリンクします。
高校無償化の判断に用いる世帯年収の考え方を誤ると、「無償化の対象になるつもりで考えていたのに実は対象外だった」などということにもなりかねません。高校の授業料は年間で約12万円。非常に大きな金額なので、予想外の出費となると家計にもダメージとなります。勘違いに発展しないようしっかり判断が必要です。
高校無償化の所得制限は各世帯の状況によって異なる
高校無償化の所得制限は各世帯の状況によって微妙に異なります。自分の世帯が受給できるのか否かを判断するためには、世帯全体の年収のほか、扶養控除などの額も踏まえた上での緻密な計算が必要です。
これから高校に進学されるお子さんをお持ちの方は、詳しい要件を全て確認し、具体的な数字を当てはめながら計算してみましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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