【老後の生活費】パートなら、たくさん働いても年金を減額されない?
ファイナンシャルフィールド / 2023年3月7日 8時30分
老後の生活費が足りるかどうか気になる人は、パートで収入を増やすことも方法の1つです。その際に、収入が多いと年金額が減額されるか気になる人もいるのではないでしょうか? また、年金額が減額する働き方について、詳しく理解していない人もいることでしょう。 本記事では、老後にかかる生活費はどのくらいなのか、年金が減額するパート収入について解説します。
老後にかかる生活費はどのくらい?
総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)家計の概要」にて、2人以上の世帯のうち65歳以上の無職世帯、65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)、65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の生活費について、図表1のように伝えています。
【図表1】
2人以上の世帯のうち65歳以上の無職世帯 | 65歳以上の夫婦のみの無職世帯 | 65歳以上の単身無職世帯 | |
---|---|---|---|
実収入 | ・65~69歳の世帯:27万1086円 ・70~74歳の世帯:24万8556円 ・75歳以上の世帯:23万9876円 |
23万6576円 | 13万5345円 |
可処分所得 | ・65~69歳の世帯:23万397円 ・70~74歳の世帯:21万4573円 ・75歳以上の世帯:21万509円 |
20万5911円 | 12万3074円 |
消費支出 | ・65~69歳の世帯:26万1123円 ・70~74歳の世帯:23万9704円 ・75歳以上の世帯:21万24円 |
22万4436円 | 13万2476円 |
可処分所得と消費支出の差額 | ・65~69歳の世帯:-3万726円 ・70~74歳の世帯:-2万5131円 ・75歳以上の世帯:485円 |
-1万8525円 | -9402円 |
2人以上の世帯のうち、65歳以上の無職世帯、65歳以上の夫婦のみの無職世帯、65歳以上の単身無職世帯ともに、赤字になっている計算です。
また、公益財団法人生命保険文化センターの「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査(速報版)」では、夫婦2人がゆとりある老後を生活するための最低日常生活費を平均月額37万円9000円と伝えています。
公的年金だけで老後生活費をまかなえない、ゆとりのある老後生活をしたいとなると、老後も働いて収入を得る方法を検討する機会が出てくるかもしれません。
年金が減額するパート収入はどのくらい?
厚生年金に加入してパートをする場合、年金月額と給与の合計が47万円を超えると、年金が減額されます。47万円から厚生年金の受給月額を差し引いた金額が、パート収入の上限と考えるとよいでしょう。
厚生年金の加入要件は以下のとおりです。
●週の所定労働時間が20時間以上で月額賃金8万8000円以上
●勤務先の被保険者(短時間労働者を除く)総数が常時100人を超えている
●雇用見込みが2ヶ月を超える
●学生ではない
厚生年金の加入要件を満たさない場合や、パート先が厚生年金保険の適用事業所でなければ、加入を回避できます。たくさんのパート収入を得ても年金額の減額を心配する必要はありません。
厚生年金のメリット
厚生年金のメリットは以下のとおりです。
【受け取れる年金額を増やせる】
厚生年金の受給資格がある会社員や公務員は、国民年金と厚生年金の両方を受け取れます。配偶者の扶養内で働く第3号被保険者、自営業者が老後に受け取れる年金は国民年金のみなので、より多くの年金をもらうことが可能です。
【被保険者と雇用主で保険料を折半】
厚生年金保険料は、2023年3月現在、月収に18.3%を掛けた値ですが、雇用主と折半になります。支払う保険料を9.15%におさえることができます。
【万が一のときの年金を増やせる】
厚生年金に加入すると、障害厚生年金が上乗せになったり、受給権者に万が一のことがあったりした際には、遺族に対して遺族厚生年金が支払われます。
老後の生活費を想定した働き方を見つけよう
老後にかかる生活費が不安で、パート収入を得ることを考えている人もいることでしょう。
厚生年金に加入している人で、「年金+給与+年間賞与」を12で割った金額が47万円以下であれば、年金は減額されません。年金の減額リスクを避けたいなら、厚生年金の加入要件を満たさないようにする、厚生年金保険の適用事業所でない企業で働くことを検討しましょう。
出典
総務省 家計調査報告 家計収支編 2021年(令和3年)平均結果の概要
公益財団法人生命保険文化センター 2022(令和4)年度 生活保障に関する調査(速報版)
日本年金機構 在職老齢年金の支給停止の仕組み
日本年金機構 令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和4年度版)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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