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「定年退職が近いし、生活費のために年金を60歳から受け取りたい」。生涯減額のほかに注意点はある?

ファイナンシャルフィールド / 2023年3月8日 0時10分

「定年退職が近いし、生活費のために年金を60歳から受け取りたい」。生涯減額のほかに注意点はある?

定年退職が近い会社員の中には、定年後の生活費を用意するために、年金の繰上げ受給を検討している人もいるかもしれません。   年金の繰上げ受給をした場合、最大24.0%の減額率が生涯にわたって適用されるなど、そのほかにも損につながるリスクが高いデメリットがあります。   本記事では、年金繰上げ受給の仕組みと減額率、生涯減額以外に年金の繰上げ受給をする際の注意点について解説します。

年金の繰上げ受給の仕組みと減額率

 
年金の繰上げ受給とは、原則として65歳から受給資格を得る老齢基礎年金・老齢厚生年金を、60歳から65歳に到達するまでの希望する時期から繰り上げて受け取れる制度です。
 
生活費が不足している人や、健康上の不安から早く年金を受け取りたい人にメリットのある制度ですが、繰上げ請求を行った時点の減額率(最大24.0%)が生涯にわたって適用されます。
 

年金の繰上げ受給による減額率

年金の繰上げ受給によって減額される年金額は、老齢基礎年金(振替加算額を除く)および老齢厚生年金(加給年金額を除く)に、以下の減額率を掛けて計算します。

・繰上げ受給による減額率=0.4%×繰上げ請求月から65歳に達する日の前月までの月数
 
※昭和37年4月1日以前生まれの人の減額率は1ヶ月につき0.5%

繰上げ受給の対象期間は60歳0ヶ月~64歳11ヶ月までの最大60ヶ月です。60歳0ヶ月で年金の繰上げ請求を行った場合の減額率は24.0%、62歳0ヶ月で14.4%、64歳0ヶ月で4.8%というように、受給開始時期が早くなるほど受け取れる年金額が少なくなります。

 
例えば、本来は毎月15万円の年金を受給できる人が60歳0ヶ月まで開始時期を繰り上げた場合、年金額は24%(3万6000円)減額され、11万4000円に減る計算です。
 

生涯減額以外に年金の繰上げ受給をする際の注意点

 
年金の繰上げ受給をすると、受け取れる年金額が生涯にわたって減額されるだけでなく、以下のようなルールにも注意してください。

●国民年金の任意加入や保険料の追納ができない
●ほかの公的年金と併給できない
●厚生年金保険の長期加入者・障害者の特例措置を受けられない

該当しない場合は特に気にする必要はありませんが、そうでない場合には年金の繰上げ請求によって、損をするリスクが発生します。
 

国民年金の任意加入や保険料の追納ができない

繰上げ受給の請求をすると、年金の受給を開始した時点で年金額が確定します。免除または納付猶予を受けた期間の国民年金保険料の追納や、20歳以上60歳未満までの保険料納付済月数が480ヶ月(40年)未満の場合に利用できる任意加入ができません。
 
国民年金保険料に未納期間がない人なら気にする必要のないルールですが、免除・猶予を受けた期間が長い、任意加入制度の利用を検討している人は注意してください。
 

他の公的年金と併給できない

公的年金は原則、1人1年金となっているため、支給事由(老齢、障害、遺族)の異なる2つ以上の年金を併給できません。
 
年金の繰上げ請求によって、以下のようなデメリットが発生するので、繰上げ受給の請求を行うタイミングが適しているか十分に検討してください。

●繰上げ受給開始後に障害状態になった:原則として障害年金の新規請求ができない
●65歳になるまでは老齢年金と遺族年金の併給不可:老齢年金と遺族年金のいずれかを選択
●寡婦年金の受給中:繰上げ請求すると寡婦年金の受給資格を喪失

 

厚生年金保険の長期加入者・障害者の特例措置を受けられない

老齢厚生年金を繰上げ受給した場合、厚生年金保険の長期加入者や障害者の特例措置が適用されなくなる点にも注意が必要です。

【厚生年金保険の長期加入者の特例】

厚生年金保険に44年以上加入していて、特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)を受け取っている人が受け取れる年金です。厚生年金に加入して特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)を受け取っている人が、定額部分の受給開始年齢である65歳到達前に被保険者ではなくなった場合に、翌月分から報酬比例部分に加えての定額部分を早期に受け取れます。

【障害者特例】

特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)を受け取っている人が、定額部分の受給開始年齢である65歳到達前に障害の状態となった場合に、翌月分から報酬比例部分に加えての定額部分を早期に受け取れます。

 

メリット・デメリットを理解した上で繰上げ受給の請求をしよう

 
年金の繰上げ受給は、年金の支給開始時期を早めることで生活費の不足などに対応できます。しかし、年金額が減額される、国民年金の追納や任意加入ができない、ほかの公的年金と併給できない、一部の特例措置を受け取れないなど、長い目で見るとデメリットが大きくなる可能性が高い制度です。
 
定年退職をする前に、繰上げ受給を選択した際に減額される年金額などを試算し、メリットがあると判断できた場合に請求手続きを行うとよいでしょう。
 

出典

日本年金機構 年金の繰上げ受給
日本年金機構 年金の併給または選択
日本年金機構 44年以上厚生年金保険に加入している特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給者が、退職などで被保険者でなくなったとき
日本年金機構 特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)を受けている方が、定額部分の支給開始年齢到達前に障害の状態になったとき
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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