子育てがひと段落した「年収600万円の世帯」は、老後資金をいくら貯められる?
ファイナンシャルフィールド / 2023年3月8日 11時10分
子育て世帯の中には、子育てが一段落したら老後資金を準備しようと考えている方も少なくないはずです。また、実際に子育てに区切りがついたので、今から老後に向けた備えを始める世帯もあるでしょう。 そこで、子育てが一段落した年収600万円の世帯では、老後資金をいくら貯められるのか考えてみます。
老後資金を貯めるためのポイントは?
老後資金を貯めるためのポイントは大きく分けて3つあります。1つ目は家計の無駄を省くこと、2つ目は税制の優遇を受けられる資産運用の制度を利用すること、そして3つ目は働く期間を延ばすことです。
家計に無駄な支出があっては老後の資金は思うように貯まりません。ここで例とする年収600万円という収入から、より多くを老後資金に回すために、まずは家計を見直して無駄な部分を省いていく必要があります。
また、老後資金は貯蓄だけではなかなか貯まらないのも事実です。貯蓄するだけではなく、個人型確定拠出年金のiDeCo、少額投資非課税制度のつみたてNISAを利用し、節税しながら資産運用で効率よく老後資金を増やしていきましょう。
最後に、働く期間を延ばすことも老後資金の増加につながります。定年後も再雇用や再就職により65歳や70歳まで働くことで、その分の収入を老後資金に回せる上、厚生年金に加入して働けば年金額も増やせます。
また、就労の継続に併せて年金の繰り下げ受給を行うと、受け取れる年金額はさらに増加します。可能であれば75歳まで働き、繰り下げの上限である75歳から年金を受け取ることで、より多くの老後資金を確保することができます。
子育てを終えた年収600万円の世帯が貯められる老後資金を試算
では、子育てが一段落してから老後の準備を始める場合、年収600万円の世帯では老後資金をどれくらい貯められるのか考えていきましょう。
年収600万円の手取りを月額換算すると、おおむね38万円前後になるでしょう。手取りが月38万円で、夫婦2人世帯での家計の支出を以下のように仮定した場合、老後資金として月10万円、年間で120万円程度を貯めることも不可能ではありません。
【図表】
項目 | 金額 |
---|---|
食費 | 6万円 |
居住費 | 8万円 |
水道光熱費 | 2万円 |
通信費 | 2万5000円 |
小遣い | 4万円 |
娯楽費 | 2万円 |
被服費 | 2万円 |
その他雑費 | 1万5000円 |
老後資金 | 10万円 |
合計 | 38万円 |
※筆者作成
支出の項目と金額はあくまでも参考例ですが、仮に50歳で子育てが終わり、そこから65歳までの15年間で手取りの38万円から月10万円、年間120万円を老後資金として貯め続けた場合、最終的には1800万円となります。
55歳から老後資金の準備を始めたとしても、65歳時点での老後資金は1200万円で、受け取れる年金額と生活水準にもよりますが、老後の生活ができないような金額ではないでしょう。
ただし、上記は手取り額が変わらないことを前提にしています。手取りが増える、または再雇用や再就職で手取りが減るような場合、老後資金の試算の結果も変わる点にご注意ください。
資産運用も併用して老後資金を増やす
老後資金のために月10万円を10年、15年という期間で貯め続けるのであれば、その一部をiDeCoやつみたてNISAで税制優遇を受けながら資産運用することで、より効率的に老後資金を増やせる可能性があります。
マネックス証券の「つみたてNISA・iDeCoシミュレーション」を使用した試算では、例えば会社員(企業年金なし)の方が50歳から月2万円をiDeCo、3万円をつみたてNISAの掛け金として、65歳までの15年間(年利5%)で運用を行った場合の元金と運用益の合計は1337万円となります。
節税額についてはiDeCoで143万円(拠出時の所得税等の控除が108万円、運用益等の控除で35万円)、つみたてNISAでは運用益等の節税効果が53万円で、合計196万円という結果です。
毎月5万円を15年間貯めた場合は900万円であることを考えると、老後に向けた資産形成においては税制の優遇を利用した資産運用の重要性が感じられます。
ただし、資産運用にはリスクがあり、一時的に元本割れや資産価値が下がる可能性もあることには注意してください。
まとめ
年齢や生活水準などにもよりますが、年収600万円の世帯では、子育てが一段落した後で1800万円程度の老後資金を貯めることも可能です。とはいえ、どれくらいの老後資金が必要で、老後までにいくら貯められるのかは世帯ごとの事情によっても異なります。
老後資金の準備は、資産運用の開始も含めて早めに始めた方が有利です。子育てが終わり、老後の生活について考え始めたならば、今すぐにでも老後資金の準備を進めてください。
出典
マネックス証券 つみたてNISA・iDeCoシミュレーション
執筆者:柘植輝
行政書士
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