公的年金以外にはどのような年金制度がある?
ファイナンシャルフィールド / 2023年3月8日 10時40分
老後の必要な生活資金のために、公的年金に上乗せをして補完を目的にした私的年金制度についてまとめました。詳しく見ていきましょう。
私的年金制度
公的年金を補完する制度として私的年金制度があります。
私的年金には、誰が資金を拠出するかによって、「企業年金」と「個人年金」に分類されます。企業が従業員のために資金を拠出して行われるのが「企業年金」、個人が自らの老後資金を準備するために利用するのが「個人年金」です。それぞれどのようなものがあるのでしょうか。
【企業年金】
現在は「確定給付企業年金制度(DB)」、「確定拠出年金(DC)」の2つが主流です。もう1つ「厚生年金基金」がありますが、現在は新設が認められず解散も相次いでいる状況ですので、今回は「確定給付企業年金制度(DB)」、「確定拠出年金(DC)」について確認しておきましょう。
その1:確定給付企業年金制度(DB)
<概要>
企業が従業員との間で給付の内容を約束して給付が行われる「確定給付型」の年金制度です。
<特徴>
実施主体が事業主になるのか企業年金基金が担うかによって分かれています。事業主が実施主体となり行われるのが「規約型確定給付企業年金」、企業年金基金が実施主体となるのが「基金型確定給付企業年金」というものです。それぞれの主体である事業主か基金が年金資産を管理・運用して年金給付を行います。
その2:確定拠出年金制度(DC)
<概要>
企業が確定した掛金を拠出し、従業員が自らの責任で運用を行うもので、「企業からの拠出額だけが確定している」年金制度です。給付額は約束されません。
<特徴>
企業が掛金を毎月積み立て(拠出)、その掛金は加入者ごとに区分され、従業員が自ら金融商品の選択や資産配分の決定など年金資産の運用を行います。
60歳以降に、積み立ててきた年金資産を一時金(退職金)、もしくは年金の形式で受け取ります。積み立てた年金資産は原則60歳まで引き出すことはできず、将来受け取る額は自らの運用成果によって変わってきます。
【個人年金】
その1:国民年金基金制度
<概要>
国民年金基金制度は、自営業者など国民年金の第1号被保険者が任意で加入する制度です。都道府県ごとに都道府県内に住所を有する人を対象とした「地域型国民年金基金」(47基金)と、全国単位で同種の事業または業務に従事する人を対象にした「職能型国民年金基金」(25基金)があります。
<加入対象者>
・20歳以上60歳未満の自営業者などの国民年金の第1号被保険者
・日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の国民年金の任意加入被保険者
<特徴>
・65歳から生涯受け取れる終身年金が基本で、年金額が確定、掛金額も一定
・掛金は全額社会保険料控除の対象になる
・受け取る年金は雑所得となり「公的年金控除」が受けられる
・万が一の場合は遺族に一時金が支給される(全額非課税)
その2:個人型確定拠出年金制度(iDeCo)
<概要>
自分で掛金を拠出し、自分で運用し、資産を形成する年金制度です。掛金は65歳になるまで拠出可能であり、60歳以降に老齢給付金を受け取ることができます。60歳になるまで、原則として資産を引き出すことはできません。
<加入対象>
・20歳以上65歳未満の自営業者、会社員、公務員、専業主婦(夫)の方(自営業者、専業主婦(夫)などは60歳未満)
<掛金の上限>
iDeCoは月々5000円から始められ、掛金額を1000円単位で自由に設定できますが上限は決まっています。
・自営業者 月額6.8万円
・会社員 月額1.2万~2.3万円(勤務先の企業年金の状況等により異なります)
・公務員 月額1.2万円
<特徴>
掛金の拠出時、運用時、受取時の3つの段階で税制優遇が受けられるのがiDeCoの特徴です。
・掛金は全額「所得控除」される
・運用益に課税される税金(源泉分離課税20.315%)が非課税になる
・一時金で受け取る場合には退職所得となり「退職所得控除」が受けられる
・年金で受け取る場合には雑所得となり「公的年金等控除」が受けられる
まとめ
公的年金を補完する私的年金制度を紹介しました。お勤めの方は勤務先の「企業年金」の有無やその内容を確認した上で「個人年金」を検討しましょう。
出典
企業年金連合会 企業年金制度
国民年金基金 国民年金基金制度とは?
iDeco公式サイト iDeCoってなに?
執筆者:仁木康尋
日本FP協会CFP(R)認定者、国家資格キャリアコンサルタント
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