50平方メートルのマンションを購入するときに知っておきたい「税制優遇」の面積基準
ファイナンシャルフィールド / 2023年3月9日 3時0分
ライフスタイルの多様化により、独身者でマンション購入を検討する方もいらっしゃるでしょう。住宅購入時には「住宅ローン控除」や「固定資産税の減額」のような税制優遇制度がいくつもありますが、適用条件となる住宅の面積基準は、制度によって違うことがあります。 50平方メートルの新築マンションを購入する場合に受けられる税制優遇と受けられない税制優遇について解説します。
不動産広告の面積と税制優遇の適用基準となる面積は違う
住宅購入時に税制優遇の適用を受けるにはさまざまな要件がありますが、住宅の面積もその1つです。50平方メートル前後のコンパクトマンションを検討する際は、その適用基準となる面積の測り方が不動産広告に記載された面積と異なることに注意が必要です。
不動産広告に記載されているマンションの面積は、壁や柱の中心線の内側を測った「壁芯面積」ですが、税制優遇の対象となるかを判断する面積は登記簿に記載される「登記面積」で、壁や柱を含まない実際の居住スペースの面積です。
したがって、マンションの住戸が50平方メートルであれば、登記面積は壁芯面積より2~3平方メートル程度小さくなり、50平方メートル未満になってしまうのです。
住宅購入時の税制優遇制度は、「面積が50平方メートル以上」を要件としていることが多いため、主な優遇制度について適用の可否を検証してみましょう。
新築住宅購入時の主な税制優遇制度
1. 住宅ローン控除
対象となる住宅の面積:50平方メートル以上(2023年末までに建築確認を受けていれば40平方メートル以上)
優遇内容:年末の住宅ローン残高の0.7%を所得税から控除、控除期間13年間
適用の可否: 〇 (収入等の条件あり)
2023年末までに建築確認を受けたマンションであれば、「40平方メートル以上」なので50平方メートルのマンションも対象ですが、合計所得金額が1000万円以下であることも要件となります。
2.住宅取得資金の贈与税の非課税制度
対象となる住宅の面積:40平方メートル以上240平方メートル以下
優遇内容:父母や祖父母から住宅取得資金の贈与を受けた場合、500万円(省エネ等住宅の場合は1000万円)までは贈与税非課税となる
適用の可否: 〇
マンション購入の資金を、両親や祖父母から援助してもらえる場合は、限度額の範囲であれば、100%有効に活用できます。
3. 登録免許税の税率の軽減措置
対象となる住宅の面積:50平方メートル以上
優遇内容:土地の所有権移転の登記 2.0%→1.5%
家屋の所有権保存の登記 0.4%→0.15%
抵当権の設定の登記 0.4%→0.1%
適用の可否: ×
不動産を購入しても、所有権を登記しなければ自分のものになりません。また、住宅ローンを借りる場合は、購入する不動産に抵当権を設定する登記をしなければ、ローンが実行されません。どちらの登記にも登録免許税がかかり、マンション購入時の諸費用の1つとなります。
例えば3000万円の住宅ローンを借り入れる場合、抵当権設定の登録免許税は軽減措置の対象なら0.1%なので3万円ですが、対象にならないと12万円かかります。できれば軽減措置を受けたいところですが、残念ながら不動産広告で50平方メートルのマンションだと、登記面積は50平方メートルに満たないので対象となりません。
4. 不動産取得税の軽減措置
対象となる住宅の面積:50平方メートル以上240平方メートル以下(共用部分を含む)
優遇内容:建物部分の評価額から1200万円(認定長期優良住宅は1300万円)を控除
適用の可否: 〇
不動産取得税の軽減制度適用の基準となる面積は専有の居住面積だけでなく、階段や廊下など共用部分を専有面積に応じて按分した面積を含めます。登記面積は50平方メートルに少し満たなくても、共用部分の面積が加わることによって、ほとんどの場合に面積基準を満たせるでしょう。
また、不動産取得税は購入したマンション価格ではなく、固定資産税評価額で計算されるので、軽減措置の対象となれば「実際にはかからない」ということも多いようです。
5.固定資産税の新築住宅にかかる減額(マンションの場合)
対象となる住宅の面積:50平方メートル以上240平方メートル以下(共用部分を含む)
優遇内容:当初5年(認定長期優良住宅は当初7年)固定資産税が1/2減額
適用の可否: 〇
不動産取得税と同様に、自分の専有面積に階段や廊下などの共用部分を専有面積に応じて按分した面積が加わるので、50平方メートルのマンションであれば面積基準は満たせるでしょう。「120平方メートル相当分までを限度」とされていますが、50平方メートルであれば限度内なので、毎年の納付額が5年間または7年間にわたって1/2になります。
減額が1年で数万円でも期間が5年または7年なので、合計額を計算すると、効果の大きさが感じられると思います。
まとめ
住宅購入時の税制優遇制度はいくつもありますが、適用要件はそれぞれ違います。制度の適用となるかどうかの判断が微妙な場合、特に共用部分の面積については不動産業者に質問してみるしかありません。
もちろん、自分にとって最適な物件は税制優遇の適用可否だけでは決められません。大切なのは、住宅購入時の税制優遇制度に関する正しい情報を知っておくことです。そのうえで、自分のライフプランに合った住まいを探しましょう。
執筆者:蟹山淳子
CFP(R)認定者
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