65歳から80歳まで、医療費は「250~350万円」が自己負担!? 老後に必要な医療費の目安を解説
ファイナンシャルフィールド / 2023年7月20日 2時10分
現役時代に病気やけがになっても、収入からある程度の医療費をカバーできます。しかし、65歳以降の収入源は、年金と貯蓄になる人がほとんどです。そのため、老後はどのくらいの医療費を用意しておくべきなのか分からない人も多いでしょう。本記事では、65~80歳の人に必要な医療費の自己負担額を紹介します。
65歳以降の医療費の自己負担額は約270~530万円
厚生労働省の「令和2(2020)年度 国民医療費の概況」によると、65歳以上の医療費は年間73万3700円です。年齢が上がると70歳以上は80万7100円、75歳以上は90万2000円と増えます。
この医療費は、公的保険制度による給付や後期高齢者医療制度、患者の一部負担などによって支払われた医療費を合算したものです。
そのため、単純に3割負担で考えると、65歳以上70歳未満の人が支払う自己負担額は年間で約22万円になります。70歳以上75歳未満は2割負担なので自己負担額は年額で約16万円、75歳以上は1割負担なので自己負担額は年額で約9万円です。
また、厚生労働省の「簡易生命表(令和3年)」によると、2021年の日本人の平均寿命は男性が81.47歳、女性が87.57歳です。そのため、簡単に計算すると男性の場合は65~82歳で約22万円×5年間(65~69歳)=約110万円、約16万円×5年間(70~74歳)=約80万円、約9万円×8年間(75~82歳)=約72万円なので、これらを合計した約262万円が支払う医療費となります。
女性の場合は、約22万円×5年間(65~69歳)=約110万円、約16万円×5年間(70~74歳)=約80万円、約9万円×14年間(75~88歳)=約126万円なので、これらを合計した約316万円が支払う医療費です。
ただし、現役並み所得者に該当する場合は、70歳以上でも医療費の自己負担割合は3割のままになります。例えば、3割負担の女性の場合は、約22万円×24年間=約528万円が自己負担額です。
次に、厚生労働省の「医療保険に関する基礎資料 ~令和2年度の医療費等の状況~」によると、日本人の生涯医療費は約2700万円です。このうちの約50%である約1365万円が、70歳以降にかかる費用となります。こちらの金額もすべて自己負担ではなく、69歳までは3割負担、70歳になると2割負担、75歳になると1割負担(現役並み所得者は3割負担)です。
さらに「高額療養費制度」があるため、毎月の窓口負担の上限が決まっています。70歳以上の場合、外来だけなら 1万2000円、入院があった場合でも4万4400円が上限額です。超過した分は還付されます。
60代の入院時の自己負担額は約30万円
公的医療保険制度や高額療養費制度によって、医療費の自己負担額は軽減されます。しかし、入院する際に個室を希望する場合の差額ベッド代や通院のための交通費、食事代、保険適用外の治療費などは高額療養費の適用外です。入院が長期化した場合や保険適用外の治療を行った場合は、自己負担額が大きくなります。
公益社団法人生命保険文化センターの「2022(令和4)年度生活保障に関する調査」によると、60歳代の平均入院日数は18.8日、70歳代は20.5日です。また、入院時の自己負担費用は15~30日間入院した場合、約28万4000円かかります。
65~80歳における医療費の自己負担額とあわせると約280万~380万円かかるイメージです。ただし、将来的に必要になる医療費を正確に把握するのは困難なため、あくまで目安になります。
老後にかかる医療費の目安を把握しておこう
本記事では、65~80歳における医療費の目安を紹介しました。年齢を重ねるにつれて病気やけがのリスクは高まり、医療費の自己負担額が大きくなります。また、年金だけで医療費をカバーするのは難しい可能性があるため、貯蓄をしたり民間の医療保険に加入したりするなど備えておくと安心です。
出典
厚生労働省 令和2(2020)年度 国民医療費の概況
厚生労働省 令和3年簡易生命表の概況
厚生労働省 医療保険に関する基礎資料 ~令和2年度の医療費等の状況~
厚生労働省保険局 高額療養費制度を利用される皆さまへ
公益社団法人 生命保険文化センター 2022(令和4)年度生活保障に関する調査
執筆者:新川優香
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士
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