高齢になった親の「デジタルデータ」 もしもに備えてパスワードを整理してもらうための3つのコツとは
ファイナンシャルフィールド / 2023年8月31日 9時40分
高齢になった親の相続対策をする際には、デジタルデータの管理にも注意が必要です。デジタルデータとは、パソコンやスマートフォンなどのデジタル機器に残したデータを意味します。中には、金融商品などが含まれている場合があり、パソコンやスマホのパスワードが分からなければ、財産などの存在を見逃す場合があるでしょう。 本記事では、デジタルデータがどのようなものなのか、また、パスワードを整理するためのコツを解説します。高齢の親がいて相続対策を検討する人は、ぜひ参考にしてください。
デジタル遺品となる可能性が高いデジタルデータとは?
デジタルデータとは、パソコンやスマートフォンなどに残されたデータのことです。紙で作成された資料のように見つければ誰でも確認できるものではありません。インターネット上でIDやパスワードなどの本人認証が必要な場合は、デジタルデータの内容を確認できないケースもあるでしょう。
また、デジタルデータの中には、インターネットバンキングの預金、ネット証券会社の投資信託や株取引のデータ、暗号資産(仮想通貨)などに該当するものが残っている可能性も高いです。これらの整理ができず、相続開始後の発見となれば、遺産分割の再協議、相続税申告からもれて過少申告になるといったリスクも懸念しなければなりません。
そのほかにも退会手続きを行わない限り利用料金が自動的に決済される、サブスクリプションサービスを解約できない、といったトラブルが発生する可能性も高いです。
自分の死亡後にデジタルデータの削除を希望する人は9割以上
株式会社林商会が、20代~60代以上の男女200名に対して実施した「デジタル遺品やデジタル終活に対する意識についてアンケート調査」によると、自分が亡くなった後にパソコンやスマホ・ネット上のデータを削除したいと回答する人は全体の9割以上でした。そのうち、データをすべて削除したいと回答する人は全体の45%、一部だけ削除したいと回答する人は全体の46%です。
デジタルデータには、LINEなどのメッセージアプリや、メールを通した親しい人とのやりとり、また、写真や動画なども含まれます。削除したい人の回答理由には「LINEやメールでのやり取りは誰かに見られたくないから」といったものが多く見られました。
デジタルデータのパスワード整理のためのコツは3つ
高齢になった親が亡くなったときに備えて、デジタルデータのパスワードの管理、スムーズに確認できるように整理を行うためのコツは以下のとおりです。
●エンディングノートやメモに記しておく
●家族へ相続する
●解約・削除の手続きを行う
親にデジタルデータのパスワードの管理や整理をお願いした際に、断られる可能性はゼロではありません。そのときには、デジタルデータのパスワードが分からない場合に発生するリスクなどを伝える、管理・整理を手伝うなどの提案をしてみてください。
それぞれについて解説します。
エンディングノートやメモに記しておく
親が管理するデジタルデータについて、子が関与したくない、親の意思で整理を手伝えない場合に有効活用したいのがエンディングノートやメモです。
デジタルデータのパスワードといった詳細や、親が死後にどのように取り扱って欲しいのかを記すように伝えておきましょう。親に万が一のことが起きた場合、デジタルデータについてスムーズ、かつ分かりやすく確認できます。
ただし、エンディングノートやメモがどこにあるのかは、親に確認しておくことを忘れないようにしてください。
家族へ相続する
デジタルデータの中で、資産となるものを家族へ相続しておくのも必要な整理方法です。遺産分割書に詳細を記入しておくなど、法定相続人となる家族へ、あらかじめ引き継ぐ形を取り入れてみても良いでしょう。
相続に関する知識を有していない場合は、弁護士などの専門家に相談してアドバイスをもらうことを検討してみても良いかもしれません。
解約・削除の手続きを行う
利用しないサブスクリプションサービス、SNSのアカウント、写真やメールなどは、不要な場合は、できれば、親自身が解約や削除の手続きを行っておくとよいでしょう。ログインIDやパスワードなどを入力すれば、簡単に解約や削除が可能です。
データが複数あって整理が難しい場合は、一覧にしておくとよいでしょう。親が高齢でも元気なうちは、必要なものと不要なものをより正確に分別できます。
デジタルデータのパスワード整理によって死後の相続手続きがスムーズになる
パソコンやスマートフォンの普及率が高まるにつれて、デジタルデータの数も増えています。親が管理するデジタルデータのパスワードが分からないために、管理や整理ができないようではトラブルに発展するケースも想定できます。
親が元気なうちにエンディングノートやメモを活用する、家族へ相続しておく、解約や削除などを行っておきましょう。親が亡くなっても、スムーズに手続きを進められます。
出典
株式会社林商会 「デジタル遺品やデジタル終活に対する意識についてアンケート調査」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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