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高齢の父のお世話をしています。代わりにATMでお金を引き出していて何か責任を問われることってありますか?

ファイナンシャルフィールド / 2023年10月22日 2時30分

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銀行の預金は口座名義人の資産であり、基本的に家族といえども親の口座から預金を引き出すことはできません。なお、預金の引き出しなどの銀行取引においては、親の認知判断能力があるかないかで、その対応が異なります。それぞれの場合について、どのように対応したらよいかを解説します。

親に認知判断能力がある場合

親が入院や骨折して歩けないなどATMへ行けない状況で、かつ親の判断能力が低下しておらず、親の同意が得られる場合には、以下の方法で現金を引き出すことができます。
 

(1)キャッシュカードを使う

親のキャッシュカードを預かって、そのカードでATMを使って引き出すことができます。もっとも手軽で、手っ取り早い方法です。ただし、親の同意どおりにお金を使えば問題ありませんが、引き出したお金を自分のために使いこんだりすると窃盗や横領に問われる等の問題が生じますので、(2)(3)の方法のほうがトラブルを避けられます。
 

(2)委任状を使う

親からの委任状を作成し、金融機関の窓口に提示することによって、銀行などの金融機関の窓口で親の口座から現金を引き出すことができます。
 

(3)代理カードを使う

親の同意を得て、親名義のキャッシュカード以外に代理カードを作成し、そのカードを使って預金を引き出す方法があります。ただし、代理カードを作成するためには、口座名義人と生計を同じくする家族が銀行に出向いて手続きを行う必要があります。
 
なお、代理カードを作成したあとに、認知判断能力がなくなった場合には、代理カードを使い続けることはできません。
 

親に認知判断能力がない場合

親の認知症が進行し、認知判断能力がなくなってしまうと、銀行としてはオレオレ詐欺などの不正な出金対策の観点から口座が凍結されます。その場合には、以下の方法で、親の預金を引き出します。
 

(1)成年後見制度を利用する

成年後見制度とは、認知症などによってひとりで決めることに不安や心配のある人が、お金の出し入れやいろいろな契約や手続きをする際に成年後見人がお手伝いする制度です。
 
具体的には、成年後見人を選んで、その人にお手伝いをお願いすることになります。ただし、成年後見人は、勝手に指名することはできず、家族や親戚のほか、福祉の専門家、法律の専門家などの中から家庭裁判所で所定の手続きを経て決められます。
 

(2)日常生活自立支援事業を利用する

日常生活自立支援事業とは、認知症高齢者等のうち判断能力が不十分な方が地域において自立した生活が送れるよう、預金の払い戻しや解約などの日常的金銭管理や定期訪問による生活変化の見守りなど福祉サービスの利用援助等を行うものです。
 
この事業を利用する場合には、お住まいの市町村の社会福祉協議会で相談するとよいでしょう。
 

まとめ

冒頭でもお話ししたとおり、親の預金は本人の資産であり、たとえ子どもとはいえ、勝手に親の預金を引き出すことはできません。親の預金を引き出すには、親に認知判断能力があり、かつ親の同意が得られる必要があるなどいくつか条件があります。
 
また、親の認知判断能力が低下し、判断ができなくなった場合には、不正出金などの犯罪防止の観点から銀行の口座は凍結されます。そして、凍結された口座から預金を引き出すには、成年後見制度と日常生活自立支援事業を活用すると預金を引き出すことができますので、覚えておくとよいでしょう。
 

出典

一般社団法人 全国銀行協会 金融取引の代理等に関する考え方および銀行と地方公共団体・社会 福祉関係機関等との連携強化に関する考え方(公表版)

厚生労働省 成年後見制度

厚生労働省 日常生活自立支援事業

 
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー

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