出産育児一時金に「50万円」って高すぎませんか? 友人が「産むだけでお金がかかる」と言っていたのですが、そんなに必要なのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年1月21日 4時30分
近年、子育て支援策の拡充が進んでいます。2023年4月には出産育児一時金が42万円から50万円に引き上げられました。これでさらに出産に関連する費用を補てんすることができるようになりました。 ただ、もしかすると「50万円なんて多い! 絶対余るでしょ!」と思う人がいるかもしれません。本記事では、出産にかかるお金の種類や、その額について解説します。
出産育児一時金とは
「出産育児一時金」とは、出産に際して健康保険や国民健康保険の被保険者などに支払われるお金です。2024年1月時点における金額は50万円で、2023年3月以前は42万円でした。
なお、妊娠週数が22週未満、産科医療補償制度の対象とならない出産などの場合には、48万8000円となります。
出産費用は健康保険の対象外
まず、出産育児一時金が多いと思っている人は、出産費用に健康保険が適用されると思っていませんか? 病気やけがでの入院であれば、健康保険が適用されるうえに高額療養費制度の利用もできますね。しかし、正常分娩(ぶんべん)には健康保険が適用されません。病院からの請求は実費になります。
これに対して帝王切開などは正常分娩以外となり健康保険が適用されますが、分娩に占める帝王切開の割合は2020年で27.4%となっており多数派ではありません。
出産費用は全国平均48万2000円
厚生労働省の調査によると、2022年度における出産(正常分娩)費用の平均額は48万2000円でした。もちろん病院によって差があり、私的病院では50万6000円、公的病院では46万3000円となっています。
都道府県別に見ると、東京都が最も高く約60万円、最も低いのは熊本県で約36万円です。やはり物価の高い都市部の方が、出産費用も高いようです。しかし出産育児一時金は50万円で全国一律なので、この点には少し不公平さを感じる人もいるでしょう。
出産育児一時金は余らない
出産育児一時金と出産費用の平均額を比べると分かるように、両者はほぼ同額になる場合が多いです。さらに目を向けてほしいのは、出産にかかるお金は病院代だけではないということです。
第1子の場合は初めての出産、子育てとなるので、チャイルドシートや乳児服など数多くのものを準備する必要があります。第2子以降でも何も買わないことはないでしょう。
株式会社ニコ・ワークスの調査によると、赤ちゃん用品、産後サポート商品など出産準備品の購入総額の平均は約14万円となっています。その他にも、妊婦健診費用や里帰り出産の交通費など、妊娠から出産までには意外と多くのお金が必要であることを知ってください。
出産費用は年々増加
出産育児一時金が42万円から50万円に増額された理由は、図表1の出産費用の増加にあります。2012年あたりでは42万円で足りていた出産費用も、令和に入った2019年あたりからはまったく足りなくなっていることから、現状に合わせて増額された形です。
図表1
厚生労働省 出産費用の見える化等について
まとめ
出産すると出産育児一時金50万円が支給されますが、出産費用以外にかかるいろいろな費用を考えると子どもを産むためには50万円以上かかる場合が多いです。出産育児一時金が増額された理由もそこにあります。決してお小遣いになっているわけではないことを知っておきましょう。
出典
厚生労働省 出産育児一時金の支給額・支払方法について
厚生労働省 令和2(2020)年医療施設(静態・動態)調査(確定数)・病院報告の概況 医療施設調査
厚生労働省 出産費用の見える化等について
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士
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