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転職先で「新入社員研修」があります。土日や平日の夜などもあるのに「自分の将来のための勉強だから」と残業代が出ません。正直納得できないのですが、本当に出ないのですか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年3月21日 2時30分

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転職先での新入社員研修には、早く職場に慣れたいとの思いから積極的に参加する人が多いのではないでしょうか。でも、平日の夜間や土曜日、日曜日にも開かれているのに、残業や休日出勤がまったく付かないとしたらどうでしょうか。「あなたの将来のため」といわれると仕方ないかと思ってしまうかも知れませんが、問題はないのでしょうか。   本記事では、研修と労働時間の関係について解説します。

研修にも基本的には賃金支払いが必要

新入社員研修といっても、業務として行われ参加が義務づけられているものです。残業や休日勤務があれば、時間外労働、休日労働および深夜労働の割増賃金支払いや、代休の付与などが当然必要になります。
 
「鉄は熱いうちに打て」とばかりに、新入社員にハードな研修が行われ、割増賃金や代休などの扱いをあいまいにすることは許されません。
 

研修についての労働時間の取り扱いは明確に示されている

研修についてどのような場合が労働時間にあたるのかは、厚生労働省のガイドラインで 明確に示されています。同ガイドラインでは、「労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる」と明示しています。
 
そして、「参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間」は「労働時間として扱わなければならない」としています。
 
もっとも、研修でも労働時間に該当しない場合もあります。 厚生労働省によると、研修・教育訓練であっても「業務上義務づけられていない自由参加のもの」であれば、労働時間に該当しないと説明しています。
 
ただ、研修・教育訓練へ参加しないと「就業規則で減給処分の対象とされていたり、不参加によって業務を行うことができなかったりするなど、事実上参加を強制されている場合」には、研修・教育訓練であっても労働時間に該当すると明示しています。新入社員が、新入社員研修への不参加が認められるとは考えにくいです。つまり実質的な強制参加、業務の1つということです。
 
厚生労働省のこれらの説明から見ても、新入社員研修の時間が労働時間に該当することは明らかです。
 

新入社員研修の時間外・休日研修も明らかに労働時間

新入社員研修への参加は、新入社員に業務上義務づけられています。自発的に参加するものではなく、業務として行われるものです。
 
研修への参加が平日夜間や休日など勤務時間外になるのならば、当然労働時間として取り扱われることになります。講義を受けている場合に限りません。例えば、研修の場で課題が与えられ、業務時間外に個人やグループで取りまとめる、といった場合も、使用者(会社)の指示によるのですから、労働時間にあたることは明らかです 。
 

会社が労働時間と認めたくない本音の理由

会社が新入社員研修の時間外や休日研修を労働時間と認めず、時間外手当などを払わないというのは、明らかに間違った取り扱いです。そもそも、会社はなぜ研修を労働時間と認めたくないのでしょうか。本音はおそらく次のようなことではないでしょうか。
 
「社員のスキルアップのための研修だ。会社として何ら利益が得られない。業務ではないのだから、残業代等は払いたくない 」
「それも新入社員の研修だ。何も知らない新人に業務に必要な能力技能を身に着けさせる見習い期間だ。そんなことに残業代を請求するのは生意気だ」
 
しかし、これは会社の勝手な理屈です。
 

新入社員としてどのように行動するべきか

新入社員の立場では、時間外や休日の研修について、時間外労働や休日労働にあたるから割増賃金を払ってほしい、とはなかなか要求しにくいでしょう 。
 
しかし、会社の取り扱いは、労働基準法に反します。「六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金」という刑事罰まで定められています(労働基準法第37条、第119条)。
 
会社の取り扱いは、労働法規への無知・無理解に起因するものである可能性はありますが、速やかに是正しなければ労働基準監督署からおとがめを受ける問題なのです。
 
労働組合があるならば労働組合に相談すべきでしょう。また、厚生労働省の総合労働相談コーナーや労働基準監督署に相談することもできます。あなたの勇気ある行動が、働く仲間も会社も救うことにつながるのです。
 

出典

厚生労働省 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン
厚生労働省 労働時間の考え方:「研修・教育訓練」等の取扱い
e-Gov法令検索 労働基準法
 
執筆者:玉上信明
社会保険労務士、健康経営エキスパートアドバイザー

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