「定年後」働くか迷っています。必要な生活費が「月15万円」の場合、どのくらい稼ぐべきですか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年3月28日 8時10分
かつては定年後は年金でゆっくりした生活を送るというのことが、かつては一般的であったかもしれません。しかし今は「人生100年時代」と言いわれ、60歳から70歳の間で定年を迎えた後も働き続つづけることが、珍しくはなくなりました。そこで、今回は、定年後も働く人たちはどのようなお仕事で働いをしているのか、確認してみました。
定年後も働く人ってどれくらい?
高齢者の就業者数は年々増加しています。高齢者の就業者数は、2004年以降増えつづけ、2022年には930万人(総務省「労働力調査(基本集計)2023年(令和4年)」より)にも達しています。その理由についてはさまざまなものが考えられます。
例えば、老後への不安のほか、現役時代に老後資金を貯められなかったことなどが該当するでしょう。
そして、高齢者の就業者数が増加している原因は、単に高齢者が増加していることが考えられます。もちろん景気の悪化や格差の拡大など、社会問題による原因が0であるとは言い切れませんが、高齢者の総数が増えた分、働く高齢者も増えているとも考えられます。
実際、団塊世代の高齢化が進んだ2013年から2016年は、65歳から69歳の就業者人口がほかの年度と比べて増加し、2017年以降は団塊世代が70歳を迎えはじめたことで、70歳以上の就業者人口が増加しています。
なお2023年の高齢者の就業率は25.2%と、高齢者のおよそ4人に1人が働いている状況ですが、まだ老後は働かないという人も多くいるようです。そのため、定年後も働かないことが世間から浮いてしまうわけでもなさそうです。
どのような職業で働いている?
高齢者が多く就業している業種を見ていくと、卸売業や小売業のほか、農業や林業、サービス業などがあるようです。ほかにも製造業や、医療・福祉関係の産業などにも、多くの高齢者が就業しています。
これらは街中の求人情報で「高齢者歓迎」という条件を比較的よく見る業種といえます。
コンビニやスーパーの店員、商業施設の警備員やタクシー運転手など、実際にそのような業種に従事する高齢者を見かけたことは、誰しも一度や二度はあるでしょう。街中で実際によく見る高齢者の働き方に該当することから、十分上記のような業種で働くことは現実的といえます。
もし、定年後働くことに迷っており、どのような仕事をすべきか悩んだときは、卸売業や小売業やサービス業などを中心に考えていくとよいでしょう。
どれくらい稼ぐべき?
定年後働くか迷う理由のうち、大きなものには、老後の生活費が挙げられます。厚生労働省によれば、令和4年度末現在における厚生年金保険の受給権者の平均額は、老齢基礎年金の額を含めて、月額およそ14万4000円です。
それに対して、総務省統計局の「家計調査」によれば65歳以上の夫婦のみの無職世帯の1月の支出は26万8508円です。単身者においては15万5495円です。
いずれにせよ、老後に年金だけで生活していくのはそう簡単ではなく、多くの場合は就労するか、それまでの貯蓄を基に生活していくことになるようです。
定年後は働くか迷っているのであれば、上記を参考に老後の生活をイメージし「自分が年金や貯蓄だけで生活できるか」という点を考え、生活できなければ働く、という方法でよいでしょう。
例えば、老後の年金が月額13万円、それに対して生活費が月額15万円と想定される場合、不足分の毎月2万円を稼ぐために働く、という具合です。
いずれにせよ、自分の老後の年金額と生活費については統計などを参考にし、それと比べて余裕があれば無理に働く必要はない、と考えてよいでしょう。逆に「生活ができない」、あるいは「不安がある」というのであれば、働くとよいでしょう。
まとめ
定年後に働くか迷ったときは、年金額や支出額の平均を統計から参考にしつつ、自身が働くべきか判断するとよいでしょう。また、老後に働く方は、卸売業や小売業、サービス業などを選ぶ場合が多くなっているようです。
定年後に働くか、そしてどのような職業で働くかは、老後の生活を左右する重大な事項といえます。今回の記事を参考に、自分はどのようにしたら、老後の生活がより豊かな方向に向かうか、金銭面とそれ以外の面も含めてぜひ一度考えてみてください。
出典
総務省統計局 統計トピックスNo.129「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで- 2.高齢者の就業」
厚生労働省 令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)結果の概要
内閣府 令和5年版高齢社会白書(全体版) 1 就業・所得
総務省 労働力調査(基本集計)2023年(令和4年)表番号1-4-1「就業状態・従業上の地位 ・雇用形態(非農林業雇用者については従業者規模)・雇用契約期間・農林業・非農林業,配偶関係・年齢階級別15歳以上人口」
執筆者:柘植輝
行政書士
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