定年間近の共働き夫婦です。老後の貯金は「3000万」あるのですが、二人暮らしでは少なすぎるでしょうか…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年4月27日 7時0分
お金がすべてではないという価値観も大切ですが、生活を継続するにはお金の存在は不可欠です。特に、定年後は現役時代のような収入を維持するのが困難となるため、老後までにいくらのお金を貯められるかはとても重要になってくるでしょう。 今回は、定年間近ですでに老後のための貯金が3000万円ある夫婦世帯について、その貯金額で定年後の二人暮らしが可能かどうかについて考えます。
一般的な高齢者世帯の貯蓄額
まずは、老後の貯金3000万円は、一般的な世帯と比較して多いのかどうかを、総務省統計局の「家計調査」からみてみましょう。2022年の同調査結果によると、世帯主が65歳以上で二人以上の世帯の平均貯蓄額は、2414万円でした。
調査対象者(貯蓄0円の世帯は除く)を順に並べたとき、ちょうど真ん中に位置する世帯の貯蓄額である中央値は、1677万円となっています。同調査結果によると、同属性の世帯で貯蓄額が3000万円を超える世帯は、27.9%でした。
・現金保有額3000万円超えの高齢者世帯は少数
平均貯蓄額と比較しても、貯金3000万円はとても多いといえます。家計調査結果で、世帯主が65歳以上で二人以上、かつ無職の世帯の貯蓄の内訳をみると、通貨性預貯金が29.6%、定期性預貯金が36.7%でした。つまり、金融機関に預け入れている預貯金が66%以上を占めていることになります。
仮に貯蓄全体の額が2500万円とした場合、その66%は1650万円です。それに対して貯金のみで3000万円ある世帯は、現金としての保有額でみると、一般的な高齢者世帯と比較しても相当多いといえるでしょう。
老後の二人暮らしに必要なお金
老後のための貯金の3000万円という金額は、一般的な世帯と比べると多い状況です。とはいえ、不確かな未来を考えれば不安が募ってしまうのも無理はありません。ここでは、老後の二人暮らしに必要な金額を、同じく家計調査からみてみましょう。
2022年の同調査結果によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の平均消費支出額は、1ヶ月あたり約23万7000円でした。それに対して、実収入は約24万6000円、可処分所得は約21万4000円です。あくまでも平均ですが、これらのデータをみると毎月2万2000円ほどの赤字となります。
消費支出項目の内訳をみると、住居費が約1万6000円となっています。高齢者世帯は持ち家率が高く、毎月の家賃がかからないためです。賃貸住宅に住んでいる世帯は、23万7000円から1万6000円を差し引いた約22万円に家賃を加えた金額が、毎月の消費支出額の目安となるでしょう。
仮に家賃8万円の家を借りている場合は、1ヶ月あたりの支出は30万円ほどとなり、平均的な可処分所得であれば毎月の赤字額は8〜9万円ほどになります。
ここでは、90歳まで生活すると仮定しましょう。65歳で定年退職した場合は、25年間です。毎月の赤字額が8万円であれば25年間では2400万円、9万円であれば25年間では2700万円となります。平均的な支出額の場合は、90歳まで生活したとしても、貯金3000万円のすべてを使い切る可能性は、あくまでも計算上ですが、低いといえるでしょう。
老後の生活における注意点
いくつかのデータをみる限り、貯金3000万円あれば、夫婦二人であっても老後の生活が困窮することはほとんどないでしょう。ただし、生活水準が高い場合は要注意です。自分たちの生活費を今一度確認し、無駄な出費があれば改める必要があります。
また、日本でインフレが進んだ場合、物価の上昇に伴い現金の価値が目減りする可能性があります。すると、生活費も増え、貯金3000万円では足りなくなるおそれも否定はできません。老後生活も20〜30年ほどあると考えれば、何が起こるかの正確な予測は困難です。定年後も定期的に生活費を見直すなど、慎重かつ適切な家計のやりくりが求められます。
老後のための貯金3000万円は二人暮らしでも少なくない
定年間近ですでに老後のための貯金が3000万円あれば、夫婦二人暮らしでも問題なく生活できるでしょう。高齢者世帯の平均貯蓄額が2400万円ほどである点をみても、決して少なすぎることはなく、過剰に心配する必要はありません。
ただ、老後の支出は生活水準により変わります。今後はインフレが進み現金の価値が目減りするおそれもあるため、定年後も生活費の見直しなどを積極的に行う姿勢は大切になってくるでしょう。
出典
総務省統計局 家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)平均結果-(二人以上の世帯) 世帯属性別にみた貯蓄・負債の状況
総務省統計局 家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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