これまで国民年金のみの加入だったので、将来の年金額は「月6万円」ほどです。老後の人生が長いとはいっても払った保険料の元は取れるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年5月9日 21時0分
これまでに厚生年金の被保険者期間がなく、国民年金のみ加入していた場合、将来的に受け取れる年金額は毎月6万8000円(令和6年度、満額の場合)です。平均寿命を考えたら年金を受け取れる期間が長くなる可能性は高いものの、これまでに支払った保険料の元を取れるかどうかが気になるところでしょう。 本記事では、老齢基礎年金の受給要件と支給開始時期をはじめ、支払った保険料の元が取れるのは何歳からなのかについて解説します。
老齢基礎年金の受給要件と支給開始時期
老齢基礎年金を満額で受け取るためには、保険料を20歳から60歳になるまでの40年間納めなければなりません。また、老齢基礎年金には受給要件があり、下記3項目などを合算した受給資格期間が10年以上あることで、原則として65歳から受給権が発生します。
(1)納付済期間:20歳から60歳までにおける国民年金保険料を納付した期間、厚生年金保険や共済組合等の加入期間、第3号被保険者(第2号被保険者の配偶者)であった期間
(2)免除期間:国民年金の第1号被保険者が、納付すべき保険料の免除を受けた期間
(3)合算対象期間(カラ期間):年金制度に加入しなくても資格期間に加えられる期間(年金額に反映されない)
65歳時点において受給資格期間が10年に達していない場合は、受給資格を満たしてないため老齢基礎年金の受け取りができません。任意加入制度を利用して、受給資格期間を満たしたときから老齢基礎年金の受け取りが可能です。
また、年金受取開始時期を65歳からではなく、60歳から65歳になるまでの間に減額された年金を受け取る「繰上げ受給」をはじめ、66歳以後75歳までの間に遅らせて増額された年金を受け取る「繰下げ受給」を選べます。
国民年金保険料の金額は1ヶ月1万6980円
令和6年度の国民年金保険料は、1ヶ月につき1万6980円です。国民年金保険料は年度ごとに変動するため、将来的に保険料が高くなるかもしれませんし、逆に低くなる場合もあります。仮に令和6年度の国民年金保険料を40年間納めたとすると、815万400円(1万6980円×12ヶ月×40年)となる計算です。
支払った国民年金保険料の元が取れるのは何歳から?
老齢基礎年金を65歳から満額で受け取る場合、81万6000円(令和6年度)です。翌年度以降に受け取れる年金額が多少変動する可能性は高いですが、前述の令和6年度の国民年金保険料815万400円から計算すると、65歳から年金を受け取ると元を取れるのは約10年後の75歳となります。
・老齢基礎年金額:81万6000円(令和6年度)
・国民年金保険料を40年間納めた場合の総支払額:815万400円(令和6年度分の保険料で計算)
・国民年金保険料の元が取れるまでにかかる年数:815万400円÷81万6000円=9.988(年)
また、年金額を増やすことを目的に繰下げ受給を選ぶ場合、受取開始時期を1ヶ月遅らせるごとに年金額を0.7%増やせます。その際の増額率は、70歳まで繰下げた場合は42%(60ヶ月×0.7%)、最長の75歳まで繰下げた場合は84%(120ヶ月×0.7%)です。
繰下げ受給によって70歳または75歳から年金を受け取った場合、元が取れるのにかかる年数は、以下のように70歳で約7年後の77歳、75歳で約5年後の80歳です。
・70歳で繰下げ受給する際の老齢基礎年金額:115万8720円(81万6000円×1.42)
・元が取れるまでにかかる年数:7.033年(815万400円÷115万8720円)
・75歳で繰下げ受給する際の老齢基礎年金額:150万1440円(81万6000円×1.84)
・元が取れる年数:5.428年(815万400円÷150万1440円)
寿命や健康状態を考慮して適切なタイミングで年金を受け取ろう
国民年金保険料を20歳から60歳まで納めた場合、支払総額は815万400円(令和6年度分の保険料で計算)です。令和6年度で計算をすると、元を取れるまでにかかる年数は10年間で、75歳になると元が取れると考えてよいでしょう。
ただし、厚生労働省の「令和4年簡易生命表」によると、平均寿命は男性が81.05歳、女性87.09歳です。元を取ることだけを考えるのではなく、自分の健康状態なども考慮した適切な年齢で年金を受け取るようにしましょう。
出典
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
日本年金機構 国民年金保険料
日本年金機構 年金の繰下げ受給
厚生労働省 令和4年簡易生命表の概況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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