祖父の死後、「葬儀代に」とタンスに貯めた200万円を発見! 本人の葬儀に使っても「相続税」の対象になるの?“葬儀費用”との関係を解説
ファイナンシャルフィールド / 2024年8月12日 2時30分
昨今は「コンパクトなお葬式」「家族葬」のように葬儀をシンプルにおこなうケースが多くあります。しかしシンプルな葬儀とはいえ、それなりの費用はかかるものです。そんなときに家族が「葬儀代に」とお金を残しておいてくれると金銭面で助かると感じる人は多いでしょう。 しかし「葬儀代に」という名目でも、故人の残した財産である以上、相続財産となり相続税の対象になるのでしょうか。本記事では葬儀費用と相続税の関係について解説していきます。
葬儀代は相続税の計算から除外できる
人が亡くなると、その葬儀や埋葬に関わる「葬儀費用」が必要となります。そのため相続人が「葬儀費用」を負担した場合、その費用を相続財産から控除して相続税の計算をおこなうことができます。葬儀費用として相続財産から控除できるものは次の通りです。
・葬式や葬送で火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用
・遺体や遺骨の回送にかかった費用
・通夜など葬式の前後に生じた費用で通常葬式にかかせない費用
・葬式にあたりお寺などに対して読経料などのお礼をした費用
・死体の捜索または死体や遺骨の運搬にかかった費用
これらの控除額に上限はありませんが、あとで申請しやすいように領収書を保管しておくと便利です。お布施のように領収書がない場合は、「いつ、誰に、いくら支払ったのか」を記録に残しておくといいでしょう。
相続税から控除されるもの
葬儀に関わる費用であっても、控除の対象にならないものもあります。控除の対象外となっているものは次の通りです。
・香典返戻費用
・墓碑及び墓地の購入費並や墓地の借入料
・初七日などの法要に要する費用
・医学上又は裁判上の特別の処置に要した費用
香典返し、墓地購入費、仏具費、初七日やその後の法要といったものは、控除の対象とはならないので注意してください。
葬儀費用の準備の仕方
今回のケースでは「葬儀代」の200万円はタンス預金で用意されていましたが、防犯上の点からもタンス預金はおすすめできません。
しかし銀行の預金口座に入れると、口座名義人が亡くなったあとに凍結されることがあり、相続の手続きがすべて完了するまで引き出せないこともあります。そのため「葬儀の費用」を準備しておきたい場合は、次の方法を検討するといいでしょう。
葬儀保険
葬儀保険とは少額短期保険のひとつです。掛け捨て保険で月々の料金も少額であるというのが特徴です。また一般的に生命保険は受取人に保険金が支払われますが、葬儀保険のプランによっては直接葬儀会社に葬儀費用を支払ってくれるものもあります。
互助会に加入する
葬儀費用に冠婚葬祭互助会(互助会)という組織を利用するのもひとつの方法です。互助会では会員に登録し、毎月積み立てた会費を冠婚葬祭の支払いに充てるというシステムになっています。
計画的に葬儀費用を積み立てることができるだけでなく、会員に対する冠婚葬祭費等の割引があったり、葬儀の相談ができたりするメリットがあります。
まとめ
故人の残した相続財産であっても、葬儀代として使用する場合は相続財産から控除することができ、その分には相続税はかかりません。
ただし、この費用をタンス預金で用意するのはリスクがありますし、逝去から葬儀までの時間は忙しく、せっかく準備しても遺族が「葬儀費用」の存在に気付かないこともあります。葬儀費用を用意する場合は保険や互助会を利用し、加入状況を家族に事前に知らせておくと、万一の時でもスムーズになるでしょう。
出典
国税庁 通達目次/相続税法基本通達
国税庁 No.4129 相続財産から控除できる葬式費用
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級
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