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ルクセンブルクの平均年収は「1250万円」!? 日本の619万円の「約2倍」も高いワケを解説

ファイナンシャルフィールド / 2024年8月16日 5時30分

ルクセンブルクの平均年収は「1250万円」!? 日本の619万円の「約2倍」も高いワケを解説

OECDの調べによると、2023年における各国の「平均年間賃金(Average annual wages)」で、最高額となったのはルクセンブルクで「8万5526ドル」でした。8月9日現在のレートである1ドル=147円で計算すると、「1257万円」以上となっています。   一方の日本は、OECD加盟国の平均(5万5420ドル)を下回る4万2118ドル、約619万円という結果でした。なぜ、ルクセンブルクの平均賃金はこれほど高いのでしょうか。

ルクセンブルクとはどんな国?

ルクセンブルクは、ヨーロッパ大陸の中北部に位置し、ベルギー・ドイツ・フランスと国境を接する内陸国です。 外務省の調べによれば、ルクセンブルク(ルクセンブルク大公国)の人口・国土面積などは次の通りです。


・面積 2586平方キロメートル
・人口 67.2万人(2024年1月)
・内政 金融業を中心に高い経済力を誇り、高い生活水準が確保されている。現在、宇宙、ICT、物流、環境技術、バイオ・医療など、金融以外の産業多角化を優先課題としている。
・主要産業 金融業、科学技術産業
・一人当たりGDP(2024年予測値)13万1000ドル

国土面積は日本(約37万8000平方キロメートル)の0.7%未満で、佐賀県(約2439平方キロメートル)程度。人口は日本の0.5%程度で、島根県(約67万人)程度という小さな国ですが、金融業・科学技術産業という稼ぐ力の強い産業を中心に高い経済力を誇り、平均的な賃金も高額になっています。
 

OECD「平均年間賃金」の定義とは

OECDの公開しているデータによれば「平均年間賃金(Average annual wages)」上位となっている国は、米国を除くとアイスランド、スイス、ベルギー、オーストリア、ノルウェーなどが続きます。
 
これらは、いずれも欧州北部の「人口が比較的少ない国」であることに注意が必要です。OECDでは、以下のように定義されています。


「平均年間賃金は、国民経済計算に基づく総賃金請求額を経済全体の平均雇用者数で割って計算し、フルタイム従業員1人当たりの週平均労働時間と全従業員の労働時間比を当てはめて、フルタイム換算単位で換算します」(OECDのHPを機械翻訳)

これは、人口・労働者数が少なく、主要産業が生産性の高い金融業などで構成されている国家であれば、統計上は高い「平均年間賃金」が計上されることを示しています。
 
日本程度の大きな国土・人口規模を持つ国家においては、農林水産業・飲食サービス業などの比較的「生産性が低い」傾向にあるとされる産業も多く維持されており、それらの産業が国内にある程度の規模存在するために、OECDの算出する「平均年間賃金」においては数値が低い傾向が出るということは見逃せません。
 
そのような中で、3億人以上の人口と日本の26倍という広大な国土を有しながら、OECD「平均年間賃金」上位国に連なる米国は、やはり別格の経済大国であると言えるでしょう。
 
また、ルクセンブルク商業会議所のレポートによれば、ルクセンブルクには多数の越境労働者(ドイツなど、ルクセンブルク以外の国家に国籍を持ちながら、ルクセンブルクで働く労働者のこと)が存在し、国内の雇用の45%を占めており、住民の46.7%がルクセンブルク国籍を持っていないとのことです。
 
この労働者の多くも、金融業・製造業などの生産性の高い職種に就いていると思われ、ルクセンブルクのGDPや平均年間賃金をさらに押し上げていると考えられます。
 
このように、日本の産業構成や労働事情と全く異なるルクセンブルクの状況を考えに入れていくと、単純にOECD「平均年間賃金」の数字を日本とルクセンブルクで比較し、「ルクセンブルクは日本の2倍以上豊かな国である」と決めつけることはできないでしょう。
 

まとめ

OECD調査による2023年「年間平均賃金(Average annual wages)」では、ルクセンブルクが「8万5526ドル」(1257万円以上)で、調査国中最高となっています。一方の日本は4万2118ドル、約619万円という結果でした。
 
ただ、この結果は、多くの越境労働者がルクセンブルク国内で働いているほか、金融業・鉄鋼業といった生産性の高い産業が国内産業の多くを占めている。という事情を加味する必要がありそうです。
 

出典

OECD Average annual wages
外務省 ルクセンブルク基礎データ
ルクセンブルク商業会議所 ルクセンブルク経済(2017年)
 
執筆者:山田圭佑
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント

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