友人に「NISAに月1万円は意味がない」と言われました。余裕がないので1万円が精いっぱいなのですが、地道に「貯金」すべきなのでしょうか…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年8月18日 5時10分
2024年から新NISA が開始され、新たに投資を始めたという人も多いのではないでしょうか。しかし、毎月NISAに1万円積み立てているけれど、友人に「意味がない」と言われたとしたら、本当に意味がないのか? 貯金のほうがいいのか? と不安になる人もいるでしょう。 本記事では、NISAに月1万円、年利3%で20年積み立てした場合と、同条件で貯金した場合の総額を比較してみます。元本割れなどのデメリットもあるものの、NISAにはどんなメリットがあるのかも併せて解説します。
月1万円を「NISA」と「貯蓄」した場合の20年後の比較
「NISA」とは、金融機関によっては少額(100円)あるいはポイントでも積立投資ができる少額投資非課税制度のことです。
これから毎月1万円を将来へ向け準備を始めた場合、NISAと貯蓄それぞれ20年後にいくらになるのかシミュレーションします。
月1万円「NISA」で積立した場合
「NISA」で月1万円を想定利回り3%で20年間運用した場合の運用収益は図表1のとおり約88万円でした。
図表1
金融庁 つみたてシミュレーター
●投資元本240万円(毎月1万円×12ヶ月×20年)
●運用収益約88万円
よって、20年後に手元に残る最終金額は約328万円(投資元本+運用収益)となります。
月1万円を銀行に「貯金」した場合
日銀の追加利上げ発表を受けて今後の金利上昇が見込まれますが、2024年8月現在の大手メガバンクにおける普通預金の金利は0.02%です。図表2のとおり、月1万円を銀行へ預けた場合、20年間で付く金利は約4786円となります。
図表2【毎月1万円を銀行の普通預金(0.02%)に20年間預けた場合の利息】
野村證券 マネーシミュレーター「みらい電卓」
●投資元本240万円(毎月1万円×12ヶ月×20年)
●運用収益約4786円(税引き後の受取額は約3814円)
よって、20年後に手元に残る最終金額は約240万4786円(投資元本+運用収益)となります。
「NISA」で積立したほうが20年間で約87万5000円増える
毎月1万円ずつ準備した場合、20年間で「NISA」で積立したほうが「貯蓄」と比べて約87万5000円増える結果となりました。
意外と知られていませんが銀行への貯金(預金)も金額に応じて利息を受け取るため、実は立派な資産運用のひとつです。
ただし、貯金と違ってNISAの場合、積立途中で一時的な元本割れのリスクがあることは理解しておきましょう。
「新NISA」のメリット3選
2024年1月から「新NISA」が始まりましたが、ここでは「新NISA」のポイントともいえる3つのメリットを解説します。
非課税の期間が永久化となる
これまでの旧NISAでは、非課税で運用できる期間が「つみたてNISAは最長20年」、「一般NISAは最長5年」でした。
「新NISA」では、この非課税期間が撤廃され、実質的に保有している限り永久的に非課税扱いとなります。
長期投資を前提とした積立を行う場合、旧NISAのように利益に対しての非課税期間を考慮せず、運用を続けられるのは大きなメリットです。
生涯の非課税枠が1800万円になる
「新NISA」では、生涯で投資できる非課税枠が1人あたり1800万円(年間360万円)と大幅に増額され、大きく2つの枠を利用できます。
●つみたて投資枠(年間120万:生涯投資枠600万円)
●成長投資枠(年間240万:生涯投資枠1200万円)
つみたて投資枠は、金融庁が定める長期的な資産形成となり得る基準を満たした「つみたて投資枠対象商品(投資信託)」のみ購入できます。一方の成長投資枠は、投資信託をはじめ株式、債券、ETFなど幅広い商品が購入可能です。
なお、金融庁の基準を満たした一部の投資信託であれば、つみたて投資枠と成長投資枠の両方で積立を行えます。
売却しても翌年に枠が復活する
「新NISA」で購入した商品は、売却しても翌年に非課税枠が復活します。例えば、A社の株を50万円で購入し、60万円に上がったタイミングで売却するとします。
この場合、利益は10万円(60万円-50万円)ですが、翌年にA社株を50万円で買った分の非課税枠が復活します。枠の復活は、売却したときの価格ではなく、買ったときの価格(簿価)で判断されます。
金額よりもまずはやってみることが大事
前記の金額はあくまでもシミュレーションですが、NISAに月1万円であっても決して意味がないということはありません。長期・分散・積立の基本原則を理解し、長い目で考えることが大切です。
もちろん毎月の積立額も大事ですが、まずは少額からでもまずは積立をやってみることを意識してみましょう。
出典
金融庁 つみたてシミュレーター
野村證券 マネーシミュレーター「みらい電卓」~積立編
執筆者:鳥谷威
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
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