現在年収600万円です。定年を「5年延長」しようと考えていますが、受け取る年金はどのくらい増えますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年8月30日 2時10分
定期収入や年金受給額の増額を目的に、定年を延長することを検討している方もいるのではないでしょうか。 本記事では、定年延長による年金受給額の変化を具体的に計算し、どれくらい増えるのかを解説します。また、延長によるメリットやデメリット、働き方の選択肢についても考察します。
定年延長とは
定年延長は、定年年齢の上限を延長することを指します。60歳から65歳まで定年の延長が可能です。定年延長を社会的に取り入れることによって、労働者人口を確保し、労働力不足解消や年金負担の軽減などが期待されています。
また、定年延長に取り組むことによって、企業は優秀な従業員を長く雇用できます。これまでの勤務で培ったノウハウを生かし、指導役や相談役として活躍できるため、企業にとってもメリットです。
さらに、2025年(令和7年)4月1日以降は、高年齢者雇用確保措置として次のいずれかの措置が必要になります。
・定年制の廃止
・65歳までの定年の引き上げ
・希望者全員の65歳までの継続雇用制度の導入
今までは60歳が定年とされていましたが、高年齢者雇用安定法改正によって、70歳までの就業機会を確保するため、事業主はいずれかの措置を制度化する努力義務が求められています。
定年延長することによるメリット
定年を延長することで得られるメリットは、次のとおりです。
・60歳以降も定期的な収入が得られる
・就職活動が必要ない
・老齢厚生年金が増額する
定年延長により60歳以降も働き続けることができるため、安定した収入を得られます。特に、2025年(令和7年)以降には、70歳までの雇用機会確保の努力義務が定められるため、65歳以降であっても働き続けられるケースもあります。
また、60歳で定年を迎えた場合には、それ以降に働くための就職活動が必要です。しかし、就職先が見つかりにくい、新しい環境になじめないなどの問題も発生しやすくなります。定年延長であれば、就職活動が必要ないため、安心して働き続けることが可能です。
さらに、定年延長することによって、厚生年金の納付期間も延長されるため、老後に受け取れる老齢厚生年金の金額も増えます。
定年延長での注意点
定年延長によってさまざまなメリットがありますが、いくつかの注意点があります。
・希望する働き方ができない可能性がある
・給与が減額されるケースが多い
・収入によっては働きながら年金が受け取れない可能性がある
定年延長した場合は、今まで通りの働き方が難しいため、希望通りの働き方ができない恐れがあります。また、定年延長によって新しい雇用条件が定められ、今までよりも給与が少なくなるケースもあるため、事前に確認しておきましょう。
また、定年延長後に年金を受け取りながら働く場合には「老齢厚生年金の月額」および「月給・賞与」の合計額が50万円(令和6年度)を超えると年金が減額されます。
定年延長と年金受給額の変化
定年延長によって、年金受給額がどのくらい変化するか見ていきましょう。
ここでは、昭和31年4月2日以後生まれの方で、平成15年4月以降に厚生年金に加入し、20歳から65歳まで保険料を納めたとして計算します。老齢厚生年金は、月々の給与を基にした標準報酬月額が基礎となっているため、標準報酬月額を30万円とします。
老齢厚生年金は、30万円×5.481/1000×480ヶ月=78万9264円です。65歳まで定年延長した場合には、5年間(60ヶ月)分の納付月数が加算されるため、30万円×5.481/1000×540ヶ月=88万7922円です。
定年を延長した場合、通常よりも10万円ほど多く年金をもらうことができることが分かります。
定年後のセカンドキャリアを考えよう
60歳以降に安定した収入を得たいと考えている場合には、定年延長以外にもいくつかの選択肢があります。
・他の会社に再就職をする、フリーランスなどで働く
・好きなことや趣味を生かす
・起業する
これまでの仕事において培った知識や経験を生かして、別会社への再就職や業務委託・フリーランスとして働くなどもおすすめです。定年延長で希望の働き方ができなくなるよりも、自分に合った働き方がしやすくなります。
また、趣味として取り組んできたものに注力することによって、SNSやクラウドソーシングサービスを利用して収入を得ることも可能です。
自己資金を準備できる場合には、会社や店舗などを立ち上げるケースも増えています。ただし、起業する場合はある程度の資金が必要となるため、将来を見据えた事前の準備が重要です。
近年、定年退職後の働き方は多くの選択肢があります。これまでの経験や知識を生かしながら自分に合った働き方をすれば、定年後も充実した生活が送れるでしょう。
出典
厚生労働省 経過措置に基づく基準対象者に限定した継続雇用制度を利用している事業主の皆さまへ
厚生労働省 高年齢者雇用安定法の改正 ~70歳までの就業機会確保~
日本年金機構 老齢年金ガイド 令和6年度版
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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