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当座預金なら1000万円を超えても「預金保護」されるらしいので、母の預金3000万円を移したいのですが、どのように口座を作るのでしょう? 手続きは難しいのでしょうか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年9月4日 11時0分

当座預金なら1000万円を超えても「預金保護」されるらしいので、母の預金3000万円を移したいのですが、どのように口座を作るのでしょう? 手続きは難しいのでしょうか?

万が一銀行が破綻した場合、預けていたお金がどうなってしまうのか、不安になるかと思います。本記事では「預金保険制度」と、その制度の対象となる当座預金について解説します。

預金保険制度とは

預金保険制度とは、万が一金融機関が破綻したときの預金者などの保護や資金決済の履行の確保を目的とした制度です。全ての金融機関や預金が制度の対象となるわけではないことに、注意が必要です。
 

預金保険制度の対象となる金融機関は?

預金保険制度の対象となる金融機関と、対象とならない金融機関は、図表1のとおりです。
 
図表1

対象となる金融機関 対象とならない金融機関
・銀行法に規定する銀行(ゆうちょ銀行を含む)
・長期信用銀行法に規定する長期信用銀行
・信用金庫
・信金中央金庫
・信用組合
・全国信用協同組合連合会
・労働金庫
・労働金庫連合会
・株式会社商工組合中央金庫
・左記金融機関の海外支店
・政府系金融機関
・外国銀行の日本支店
・農林中央金庫、信用農業協同組合 連合会、信用漁業協同組合連合会、 水産加工業協同組合連合会、 農業協同組合、漁業協同組合、 水産加工業協同組合(注1)
・保険会社(注2)、証券会社(注3)

(注1)農林中央金庫、農業協同組合、漁業協同組合などは、預金保険制度とは別の「農水産業協同組合貯金保険制度」という保護制度に加入している
(注2)保険会社については預金保険制度とは別の「保険契約者保護機構制度」という保護制度に加入している
(注3)証券会社については預金保険制度とは別の「投資者保護基金制度」という保護制度に加入している
出典:金融庁・預金保険機構「預金保険制度 私たちの預金と保護の仕組み」より筆者作成
 

預金保険制度の対象となる預金は?

預金保険制度の対象となる金融機関に預けていても、全ての預金が制度の対象となるわけではありません。預金保険制度の対象となる金融商品は、図表2のとおりです。
 
図表2

預金保険制度の対象となるもの 預金保険制度の対象とならないもの
・預金(右欄の預金を除く)
当座預金、普通預金、通知預金、納税準備預金、貯蓄預金、定期預金、別段預金
・定期積金
・掛金
・元本補てん契約のある金銭信託(ビッグなどの貸付信託を含む)
・金融債(保護預り専用商品に限る)
など
・外貨預金、譲渡性預金、特別国際金融取引勘定において経理された預金(オフショア預金)、無記名預金、導入預金
・日本銀行からの預金など(国庫金を除く)
・金融機関からの預金など(確定拠出年金の積立金の運用部分を除く)
・預金保険機構からの預金など
・金融債(募集債および保護預り契約が終了したもの)
・他人名義預金、架空名義預金
など

出典:金融庁・預金保険機構「預金保険制度 私たちの預金と保護の仕組み」より筆者作成
 

預金保険制度で保護される範囲は?

預金保険制度で保護される対象の預金であっても、保護される金額は、預金の分類によって異なります。
 
図表3

預金などの分類 保護の範囲
決済用預金 当座預金、利息の付かない普通預金など 全額保護
一般預金など 利息の付く普通預金、定期預金、定期積金、元本補てん契約のある金銭信託(ビッグなどの貸付信託を含む)など 金融機関ごとに預金者1人当たり、元本1000万円までと破綻日までの利息などが保護

出典:金融庁・預金保険機構「預金保険制度 私たちの預金と保護の仕組み」より筆者作成
 
全額保護の対象となる当座預金のような「決済用預金」として分類されるには、以下の3つの要件が全て満たされている必要があります。

●引き落としなどができる口座である
●預金者が払い戻しをいつでも請求できる
●利息が付かない

一方で、一般預金などは保護の範囲に制限がありますが、1000万円を超える部分については、破綻金融機関の財産の状況に応じて支払われるため、一部カットされる可能性があります。
 
なお、預金者が破綻金融機関に借り入れなどを行っている場合は、必要な手続きを踏むことで、預金と借入金を相殺できる場合があります。例えば、一般預金で1500万円の預け入れと500万円の借入金があった場合、保護の範囲を超える500万円と借入金500万円を相殺することで、一部カットされるのを防ぐことができます。
 

当座預金とは

預金保険制度で全額保護対象となる「当座預金」は、主に手形や小切手の決済用に、企業や個人事業主が使用する、事業用の口座です。当座預金は図表4のようなメリット・デメリットがあります。
 
図表4

メリット デメリット
・代金の支払いに手形や小切手が利用できる
・1日の出金額に限度がない
・金融機関の破綻時に全額保護される
・利息が付かない
・ATMが利用できないなど、手軽に入出金できない
・口座開設のときに審査がある

筆者作成
 
また、当座預金を利用する際は、口座開設手数料や小切手発行手数料、代金取立手数料(小切手を現金化する際に発生する手数料)などが発生する可能性があります。
 

当座預金の開設手続き

当座預金を開設するためには、金融機関から求められる必要書類を用意し、場合によっては当座預金を利用する目的や事業内容などの確認のために、金融機関の担当者との面談を求められることがあります。そのうえで、提出した書類をもとに、金融機関で審査が行われます。審査に通ることで、当座預金の開設が可能となります。
 

個人が当座預金を開設できる?

当座預金を持つ目的は、主に事業で決済に利用することであり、また口座開設には審査もあることから、一般的には個人向けには提供されていない場合が多いです。そのため、事業の決済で使う予定がないのであれば、個人が当座預金を開設するのは難しいといえるでしょう。
 

個人の大口の預金を保護する方法

当座預金の利用は不向きな個人が、1000万円を超えるような大口の預金を保護するためには、次のような方法が考えられます。

●利息の付かない普通預金(決済用普通預金もしくは無利息型普通預金など)を利用する
●1つの金融機関への預け入れが1000万円以下となるように、複数の金融機関に分散させる
●個人向け国債などといった、元本割れの心配がない金融商品を購入する

「決済用普通預金」や「無利息型普通預金」と呼ばれる利息の付かない普通預金は、個人でも開設できる預金です。当座預金の開設と違い、通常の普通預金(利息の付く普通預金)と同じように、審査なしで開設できます。通常の普通預金との違いは、「利息が付くか付かないかだけの違い」と考えて差し支えありません。
 
また金融機関によっては、通常の普通預金をすでに持っている場合、それを利息の付かない普通預金に切り替えることも可能です。この場合、切り替えの際に200円の収入印紙が必要になりますが、「口座番号が変わらず、利用していた通帳やキャッシュカードもそのまま使える」といったメリットがあります。
 

まとめ

当座預金の開設には審査などがあることから、個人が利用するにはハードルが高いといえるでしょう。個人が大口の預金の保護を検討する場合には、複数の金融機関に預金を分散させることや、利息の付かない普通預金や個人向け国債など、元本割れの心配のない金融商品の利用を検討するようにしましょう。
 

出典

金融庁・預金保険機構 預金保険制度 私たちの預金と保護の仕組み
 
執筆者:小山英斗
CFP(日本FP協会認定会員)

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