夫が亡くなり、相続の手続きを進めています。配偶者だと相続税がかからないと聞いたのですが、本当ですか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年9月11日 5時40分
身内に不幸があると、悲しむ間もないくらいにやらなければいけない手続きが発生するものです。遺産や貯金、生命保険などがあると、相続を行わなければいけませんが、他者からお金を受け取る際には一般的に税金がかかります。これは家族の場合も同じなのでしょうか。 そこで本記事では、相続税の基本から配偶者が相続税を払うのか否かなどを解説します。参考にしながら手続きを進めてみてください。
相続税の基本知識
相続税は、亡くなった親から受け継いだ財産にかかる税金です。対象になるのはお金だけでなく、土地、貴金属、有価証券、著作権などお金に変えられるものが対象となるようです。
反対に相続税の対象にならないものとして、退職手当金、墓地、墓石、国や地方に寄付したお金などがあります。
その他にも交通事故や飛行機事故で被害者(被相続人)が死亡した際に損害賠償金が支払われますが、遺族に対する慰謝料として賠償金を請求する権利の部分に関しても、相続税や所得税はかからないとされています。
相続人はどのように決められているのか
民法では、相続人の範囲や法定相続分は次のように定められています。死亡した人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の人は、次の順序で配偶者と一緒に相続人になります。
・第1順位:死亡した人の子ども
・第2順位:死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)
・第3順位:死亡した人の兄弟姉妹
第2順位の人は第1順位の人がいなかった場合、第3順位の人は第1順位、第2順位の人がいなかった場合の相続人です。なお、相続を放棄した人ははじめから相続人でなかったものとされます。また、内縁関係の人は相続人に該当しないようです。
相続税は必ず発生する?
相続税は法定相続人の人数によって、基礎控除額が異なります。国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問)No.4102相続税がかかる場合」を基に、相続税についての計算方法をご紹介します。
・基礎控除額=3000万円+(600万円×法定相続人の数)
法定相続人が1人増えるごとに600万円ずつ基礎控除額が増額します。例えば、法定相続人が2人の場合は、4200万円以上の相続を受ける場合に贈与税が発生するということです。
配偶者は相続税がかからないのか
相続を受ける法定相続人の人数によって基礎控除額が異なりますが、配偶者が相続を受けたら、同様に贈与税を支払わなければいけないのでしょうか。
配偶者の場合は、配偶者の税額の軽減という制度があります。これは被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額の金額には、相続税がかからないというものです。
ただし、いくらでも非課税で受け取れるわけではありません。
国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問)No.4158配偶者の税額の軽減」によると、配偶者に贈与税がかからないのは、1億6000円までもしくは、配偶者の法定相続分のいずれか多い分までとされています。なお、この金額を上回った場合は、上回った分の額から贈与税が算出され、支払うことになるでしょう。
相続手続きで注意すること
配偶者は規定の条件内の相続であれば、贈与税がかからず、家族からお金を受け取れます。しかし相続の手続きは、対応期限があるため注意が必要です。
相続税は相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に、被相続人の住所地の税務署に申告し、納税しなければいけないようです。申告は相続人が共同で行いますが、相続でもめたり、自分以外の相続人と連絡がつかなかったりする場合には、個別で対応することも可能なようです。
相続の期限は「10ヶ月以内に納税する」以外にもあります。例えば「相続放棄」や「限定承認」をする場合は、相続開始の3ヶ月以内に手続きが必要です。また被相続人の生前の所得に関して確定申告をする「準確定申告」が必要な場合は、相続開始を知った日から4ヶ月以内の手続きが必要になるため注意が必要です。
プロのサポートや事前対策も検討しましょう
相続は複雑な手続きが多いだけでなく、特例も多く、相続以外の手続きと同時進行で進めるのは困難な場合が少なくあるでしょう。その場合は早めに税理士へ相談して、プロのサポートを受けながら進めていくことをおすすめします。
また相続の事前対策として、生前贈与を検討するのもいいでしょう。生前贈与であれば、1年に110万円まで非課税で財産の受け取りが可能なため、生前に被保険者の財産を減らすことで、相続税対策になります。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)
No.4102 相続税がかかる場合
No.4158 配偶者の税額の軽減
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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