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新札発行は「偽造紙幣が出回らないため」と聞きました。「偽造紙幣」って見たことないのですが、そんなに出回っているのでしょうか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年9月14日 9時0分

新札発行は「偽造紙幣が出回らないため」と聞きました。「偽造紙幣」って見たことないのですが、そんなに出回っているのでしょうか?

「通貨の出現は、通貨偽造の出現を意味する」とは、ある方の論文に載っていたフレーズです。2024年7月3日に、新札が登場しました。読者の皆さまは、新札の真贋、つまり偽造紙幣を見抜くことはできますか?   そもそも新札を見る機会は少ないかもしれません。今やキャッシュレスにセルフレジの時代でもあります。お支払いはいつも「決済アプリ」という方もいらっしゃるでしょう。   また、レジカウンターの内側に立ち、お金を受け取ることをお仕事にされている方も、セルフレジが増えています。仕事柄「お札を見る機会が多い」という方は、むしろ減っているかもしれません。

通貨って、どのくらいあるの?

総務省統計局の「通貨流通高」よると、2022年日本銀行券発行高(1万円札・5000円札・1000円札の合計)は125兆683億円です。ちなみに2020年の日本銀行券発行高は118兆3281億円で、2018年は110兆3625億円です。
 
2019年に消費税増税がなされた際に、2019年10月から2020年6月までの9ヶ月間、キャッシュレス・ポイント還元事業が行われました。そこで、2020年以降はキャッシュレスが進んだであろうと想定され、通貨流通高の減少が期待されました。しかし通貨流通高は一貫して増えています。
 

偽札・偽貨って、どのくらい出回っているの?

さて冒頭に引用したとおり、「通貨の出現は、通貨偽造の出現を意味」します。そこで、警察庁の統計「偽造通貨の発見枚数」を見てみましょう。
 
2020年は1万円札で2643枚、5000円札で3枚、2000円札で2枚、1000円札で45枚となっていて、金額にして計2649万4000円です。
 
また2023年は1万円札で583枚、5000円札で20枚、2000円札はなし、1000円札で78枚となっていて、金額にして計600万8000円になっています。2023年は2020年に比べ、額の小さな偽装紙幣や偽装通貨が増えていることが分かりますし、また合計額は少なくなっています。
 
なお、新札における偽造通貨の統計は、さすがにまだ発表されていません。
 

偽造の硬貨はあるの?

偽造通貨のうち、お札については1万円札がダントツに多いことが分かります。いわゆるコストパフォーマンスということなのでしょうか。
 
一方、偽造通貨のうち硬貨(コイン)については、警察庁の統計「偽造通貨の発見枚数」には500円硬貨のみ載っています。2020年の500円硬貨の偽造通貨の枚数は1124枚でしたが、2023年には331枚と、先述のお札と同じく減少しています。ちなみに500円硬貨は、2021年に偽造防止技術に対応したタイプが登場しています。
 

まとめに代えて

偽装紙幣・偽装通貨を作ったり使用したりすると、無期また3年以上の懲役という重い刑が科されます。店舗などで受け取った紙幣・硬貨に違和感があったら、最寄りの警察署等に相談しましょう。
 

出典

警察庁 偽造通貨の発見枚数
日本銀行金融研究所 通貨偽造罪の研究
総務省統計局 第4章 通貨・資金循環 通貨流通高
財務省 通常貨幣一覧
経済産業省 キャッシュレス・ポイント還元事業
財務省 偽物のお金(偽札・偽貨)を作ったり、偽物のお金やコピーしたお金を使用したりするとどうなりますか
 
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役

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