調理師免許を取得した娘。「飲食店スタッフ」と「給食調理員」で迷っているようですが、働き方や年収はどのように違いますか？

ファイナンシャルフィールド / 2024年9月19日 9時40分

飲食店のスタッフと給食調理員で就職先を迷っている方もいらっしゃるでしょう。そこで本記事では、厚生労働省の「職業情報提供サイト（日本版O－NET）jobtag」を基に、「飲食チェーン店店員」と「給食調理員」の働き方をおもに下記の点で比較します。・業務内容・就業形態・労働時間、休日・年収なお、「職業情報提供サイト」における「飲食チェーン店店員」には、ホールスタッフや清掃スタッフも含まれる点をご承知おきください。

業務内容の違い

飲食チェーン店の調理師は、調理や盛り付けをマニュアルに従って行います。近年では、調理師にも接客を経験させる店舗も増えているようです。調理場の回転率は売り上げにも影響するため、ほかの従業員との連携や、業務の効率的な遂行が重視されます。

一方の給食調理員の業務は、献立に基づいた食材の仕入れから、仕込み、調理、盛り付け、配膳、清掃などです。給食の提供先は学校や企業、病院などで、一度に1000食以上を作ることもあります。そのため、大量調理用の大型器具を操作する技術が必要です。月に2度の検便が推奨されるなど、食品の衛生管理や自身の健康管理に対してもより高い意識が求められます。

なお、いずれの職種も調理師免許は必須ではないようです。ただし、調理師免許保有者を優先的に採用している企業や、調理師資格を応募条件としている企業もあるようです。とくに給食調理員は、調理主任や給食施設の責任者など、キャリアアップにつながる可能性があります。

就業形態の違い

飲食チェーン店店員と給食調理員のいずれにおいても、就業形態で最も多いのはパートタイマーです。表1には、飲食チェーン店店員と給食調理員におけるパートタイマーと正社員の割合を掲載しています。

表1

	パートタイマーの割合（％）	正社員の割合（％）
飲食チェーン店店員	65.4	19.2
給食調理員	69.8	37.7

※厚生労働省職業情報提供サイト（日本版O－NET）jobtag「飲食チェーン店店員」「給食調理員」を基に筆者作成

労働時間・休日の違い

月平均労働時間は飲食チェーン店店員が165時間、給食調理員が171時間です。なお、厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、従業員10名以上の企業に勤める労働者の所定内労働時間数は月平均166時間となっています。

休日に関しては、飲食チェーン店店員はシフト制がおもなため、「毎週◯曜日」のような目安がないケースが多いです。

一方、給食調理員の休日は給食の提供先によって異なります。例えば、学校給食のみを提供している場合は土日祝日が休みになりやすく、病院給食を提供している場合は交代制が採用されやすいでしょう。

年収の違い

平均年収は、飲食チェーン店店員が327万9000円、給食調理員が358万9000円です。したがって、平均年収では給食調理員の方が31万円高いことになります。

また「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、従業員10名以上の企業に勤める労働者の推定平均年収は506万9400円です。飲食チェーン店店員、給食調理員ともに全産業の平均年収を下回っていることが分かります。

一方、総務省の「令和5年地方公務員給与の実態」に基づくと、地方公務員学校給食員の推定平均年収は555万1520円です。この場合、従業員10名以上の企業に勤める労働者の平均年収を48万2120円上回ります。ただし、全地方公共団体一般職員の推定平均年収560万6707円に対しては、5万5187円少ないです。

なお、ここでご紹介した金額はいずれも平均です。実際の値は年齢や勤務地、企業規模によって変動する点にご注意ください。

飲食チェーン店店員と給食調理員の平均年収は給食調理員が31万円高い

飲食店は調理場の回転率が売り上げにつながるため、店員には業務を効率的に遂行するスキルが求められます。一方、給食調理員は食品の衛生管理や自身の健康管理に対してより高い意識が必要です。

また、飲食チェーン店店員と給食調理員は資格不問の職業ですが、調理師免許が選考で有利に働いたり、キャリアアップにつながったりする可能性があります。

飲食チェーン店店員と給食調理員の働き方や年収の違いは表2にまとめています。検討の参考としてご使用ください。

表2